(4)単一の仕事に代わり、ポートフォリオ・キャリアが新たな常態になる
筆者はNinety.ioのプロダクト責任者であるオードラ・スタントンにも話を聞いた。
「働き方の進化が、副業へと向かう根本的なシフトを生み出しています。原動力は経済的必要性と職業上の多様性(汎用性)です」とスタントンは説明する。
「インフレが従来の報酬パッケージを上回るなか、従業員は金銭的な安心のためだけでなく、柔軟性とキャリアのレジリエンス(回復力・持続力)のために、複数の収入源へとますます向かっています。この傾向は、AIや自動化が継続的な不確実性を生むテックのような、変化の速い業界で特に顕著です」。
スタントンは、フラクショナルロール(複数の企業で部分的に働く形態)が副業から主要なキャリア戦略へと移行しつつあり、専門職に多様な学習機会、加速的な成長、スキル開発のためのリスクの低い環境を提供していると付け加えた。同氏は、仕事と個人の時間の境界線が曖昧になり続け、ポートフォリオ・キャリア(複数の仕事を組み合わせた働き方)が例外ではなく新しい標準になると見ている。
「ミレニアル世代は、キャリアを通じて高い生活費と限られた機会の中で苦労してきた世代です。彼らが上級管理職に就くにつれて、従業員の副業を認める方向へのシフトは加速するでしょう」とスタントンは述べている。彼女は、企業文化に変革が起こると予測している。従業員を自社だけに縛りつけることよりも、実際にどれだけの成果を出しているかを重視する方向へとシフトし、先進的な企業は副業などの機会を制限するのではなく、むしろ積極的に認めるようになるという。「副業は仕事の未来です」。
(5)副業はAIを生き延びるが、「ジョブ・ハギング」は生き残らない
スタントンは、ジョブ・ハギング(現在の職にしがみつく行動)はAI時代を生き残れないと確信している。
「AIが雇用の構図を塗り替えるなか、ジョブ・ハギングは持続不可能になりつつあります。コピーライティングのようなAIの影響を受けやすい分野の労働者は、現時点では既存のポジションにより強くしがみついているかもしれません。しかし、副業とスキル向上(アップスキリング)は、キャリア転換に向けた出口戦略と自信を生み出しています」とスタントンは強調する。
またスタントンは、AIが雇用不安を生む一方で、副業の機会を通じてキャリア探索をより身近にしているという逆説も指摘する。
「労働者は新しい分野を試し、多様なスキルセットを構築し、避けがたい変化に備えています。これは、関連性を保つために継続的な学習と担当領域の拡大が求められるテック分野では特に重要です」とスタントンは説明する。


