ジャーナリストのデービッド・キリチェンコがオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)に寄稿した記事によると、ウクライナ軍のドローン操縦士ドミトロは「AI搭載ドローン1機よりも通常のドローン3機のほうがいい」と話している。
決定的だったのは、自動化システムには人間の操縦士が持つきわめて重要なスキルが欠けていたことだ。たんに目標の車両に命中させるだけでなく、特定の弱点を見つけて狙う能力である。FPVドローンのRPG(対戦車擲弾)弾頭では、ロシア軍の戦車の正面装甲にはたいした損傷を与えられないだろうが、砲塔後部を直撃すれば車両は火球となって粉砕される。
Donetsk Oblast, a Ukrainian FPV munition hits a Russian T-72, causing a catastrophic ammunition detonation and turret toss. pic.twitter.com/NMU5ujQhZq
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) December 27, 2023
さらに、AIには競合するシステムも存在した。光ファイバー通信である。光ファイバーケーブルを繰り出しながら飛行するFPVドローンも、ジャミングに影響されない。光ファイバーを積むとドローンの重量がかさみ、飛行も制約されるが、信頼性に欠けるAIシステムよりも利用が広がった。ウクライナの平原に廃棄された光ファイバーが散乱するようになる一方で、AIシステムは停滞したままだった。
軍事ニュースサイト「ブレーキング・ディフェンス」は2024年2月、AIドローンについて「革命は起こらなかった」と伝えた。ただし「いまのところは」とも付け加えていた。
2025年:AI攻撃ドローン2.0
以来、ウクライナのAI開発者たちは懸命に努力してきた。優れたAIシステムがドローンに実装されれば、ジャミングを無効にできるだけでなく、操縦士の訓練も大幅に少なく済み、未熟な操縦士1人でも複数の目標を立て続けに攻撃できるようになる。
ウクライナ政府の防衛テックアクセラレーター「Brave1(ブレイブワン)」によると、この分野にはウクライナ企業およそ100社が取り組んでいるという。加えてウクライナは、スイス発祥で米国やドイツに拠点を置くAuterion(オーテリオン)製のAIハードウェア「Skynode S(スカイノードS)」を搭載したドローンや、元米グーグル最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミットのドローン企業Swift Beat(スウィフト・ビート)が供給するAIドローンも導入している。


