リーダーシップ

2026.01.12 13:00

職場で「感情は殺さず、生かす」 組織に情熱を取り戻すためにリーダーができること

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今どきの職場に足を踏み入れると、あらゆる場所に同じようなトーンが漂っていることに気づくことが多いはずだ。オフィスで交わされる会話の口調は丁寧で、抑制されていて、感情の起伏はほとんどない。働く人たちは穏やかで控えめで、注意深い。争いで声を荒らげる場面はなく、興奮も節度あるレベルに抑えられている。不満がはっきりと表明されることもまれだ。

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こうした職場は、「プロ意識が高い」と表現されることが多い。リーダーは落ち着いた感情を示す態度や、安定した話し方を称賛する。働く人たちは、客観的で理性を保ち、中立であるよう促される。表面上は、こうしたふるまいは大人の態度のように見える。だが水面下では、感情的にフラットな職場が作り出されている。

こうした職場の問題は、感情が消えたことではない。感情が水面下に潜ってしまったことだ。情熱や失望、誇り、怒りといった思いは変わらずに存在するが、入念にフィルターがかけられている。従業員は、感情のうち、容認されるものがどれで、リスクが高いものがどれかを学んで知っている。時間の経過とともに、あらゆる感情を表現することをやめてしまう者も多い。

感情的にフラットな職場は、落ち着いて見えるかもしれないが、活気に欠けることが多い。従業員のエンゲージメントは減退し、創造性もなえてしまう。働く人たちの仕事ぶりは満足できるレベルに達していても、ひらめきはない。組織は安定するが、それと同時に、退屈な状況に陥ってしまう。

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プロ意識の徹底が、感情の抑制につながる状況とは

プロ意識とは、そもそもは感情を排除するものではなかったはずだ。むしろ、感情が引き起こす混乱を予防するためのものだった。だがどこかで、プロ意識を規定する境界線が移動してしまった。感情表現が「制御不能の状態」とイコールで結ばれるようになり、感情を抑えることが、最も安全な選択肢と化した。

こうした境界線の移動は、人事考課制度によってさらに強化されている。フィードバックからは不快な要素が取り除かれ、ミーティングは参加者の納得よりも「意見の一致」を評価するようになっている。リーダーは、落ち着いているように見せるために、心理的距離を保つことを心がける。それを見た部下も、その意図を察する。自分の思い入れを、あまりに明確に示すことはリスクが高いし、情熱は、偏見や未熟さの証と誤解される可能性がある、と学んでしまうのだ。

その結果生じるのが、感情の「圧縮」だ。働く人たちは、強い感情を抱いているが、その表現は弱くなる。深い思い入れを持っていても、コミュニケーションは浅くなる。このように、本来の感情と表現のあいだにギャップがある状況が続くと、人は消耗していく──常に自分を抑えていることは、気力を要するからだ。こうして、多くの従業員がエンゲージメントを失っていくが、それは思い入れがないからではなく、思い入れを持つことが危険に感じられるためだ。

感情は、情報を伝えるものでもある。不満は、プロセスに不備があることを示すシグナルだ。興奮は、チャンスの指標となる。誇りは、意義を感じていることの反映だ。感情が抑圧されると、組織はこうしたシグナルを得る手段を失う。すると、問題を察知して適応するプロセスがスローダウンしてしまう。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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