経営・戦略

2026.01.13 12:30

「創造的破壊」に魅了された投資家。世界トップ10、グローバルVCを目指す

仁位朋之|SBIインベストメント

仁位朋之|SBIインベストメント

「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」1位に輝いたのは、SBIインベストメント執行役員海外投資部長の仁位朋之だ。世界を舞台に活躍する投資家の哲学とは。


SBIインベストメント執行役員海外投資部長の仁位朋之がベンチャー投資を始めたのは2006年。19年間一貫して信条としてきたのは「創造的破壊」という言葉だ。イノベーションによって既存の技術や市場を「破壊」し、同時に新たな価値や産業を「創造」していく経済プロセス──経済学者ジョセフ・シュンペーターが提唱したこの概念こそが仁位の投資哲学の核にある。「やっぱり自分は戦略的意思をもってイノベーションを起こしたい」とその理由を話す。

25年5月、米ナスダックに上場した、イスラエルのネット証券会社イートロ(eToro)への投資もその一手と言えるだろう。上場初日、初値は公開価格(52ドル)から3割上回る69.69ドルとなり、時価総額は約55億ドル(約8250億円、1ドル150円換算)と、ユニコーン(評価額10億ドル)をはるかに上回る世界的な企業だ。暗号資産や株式、通貨などの取引を行い、25年5月時点で、75カ国で事業を展開。登録ユーザー数は4000万人を超え、保有する資金提供口座は約350万件に上る。

イートロとの出合いは、仁位がSBIインベストメントにて海外投資をひとりで始めてから1年が経った17年。舞台は、ロンドンのロスチャイルド銀行本店だった。

「イートロは、株式に関する経済、企業情報がプラットフォーム内で公開、共有され情報交換できる『ソーシャルトレーディング』、優秀なトレーダーのポートフォリオをワンクリックでコピーして保有し、その後の売買も自らの売り買いに自動的に連動させる『コピートレード』が特徴で、その草分け的な存在。従来の金融に創造的な破壊をもたらし、かつ、共同創業者でCEOのヨニ・アシアがまさに(SBIグループが掲げる経営理念である)『金融イノベーター』な起業家だった。イートロがすでに利益が出ていたこと、そしてイートロが(グループがもつ)SBI証券と事業連携などシナジーがあるとして我々を選んでくれたことで、投資実行に至った」(仁位)

18年3月、イートロが1億ドルの調達を行ったシリーズEのタイミングで、SBIインベストメントおよびSBIホールディングスは投資を行った。投資後、21年3月には、同社が特別買収目的会社(SPAC)を通じて米ナスダック市場に上場する計画を立て、評価額104億ドルを見込んでいた。当時の為替レートで時価総額1兆円を上回る超大型上場を予定していたが断念した経緯がある。「SPAC上場できなかったところからはい上がっての上場はさすがに感慨深かった。業績も一度落ちてから回復し、暗号資産取引が売り上げの6割を占めた当時から、現在は株式、通貨、コモディティなども伸びてその割合が3分の1程度までになった。(時価総額55億ドルという)上場時の株価と時価総額は、ようやくきちんと評価されたと胸が熱くなりましたね」

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文=山本智之 写真=平岩 享

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