テスラの世界販売が昨年6.7%減となったことで、同社が工場能力の70%しか使っていないことが明らかになった。これは伝統的な自動車大手と同水準だ。2026年には状況がさらに悪化する可能性がある。
テスラが2年連続の販売減、工場の稼働率という課題に直面
テスラは2008年に電気自動車(EV)の販売を始めて以来、既存メーカーと一線を画す型破りな自動車会社として自社を位置付けてきた。だが、年次の販売減が2年連続となった今、イーロン・マスク率いる同社は、ある重要な点で従来型の自動車ブランドとほとんど変わらない姿を見せている。自動車工場が十分に稼働していないという点だ。
テキサス州オースティンに本拠を置く同社は今月、昨年の世界販売が6.7%減少し、年間ベースで2年連続の減少となったと明らかにした。上海、カリフォルニア、ドイツ、テキサスの各工場で生産した車両は165万台で、2024年より11万9000台少ない。これは、テスラが各工場の年間生産能力として掲げる235万台超のうち、わずか70%しか使わなかったことを意味する。稼働率は2021年のピーク(89%)から低下した。
「例えば北米における自動車メーカーの平均稼働率は約69%で、テスラもだいたい同じ水準に見えます」と、S&Pの自動車業界アナリスト、マイク・ウォールは語る。「健全な、あるいは最適な稼働率と見なされる一般的な目安は、75%から80%あたりでしょう」。
新モデルの欠如やマスクの政治姿勢が響き、ロボティクスに賭ける
わずか2年前、テスラはModel Y(モデルY)とModel 3(モデル3)の人気に牽引された劇的な販売成長をマスクが見込んでいたことから、メキシコやインドでの新工場計画を進めていた。だが、期待外れのCybertruck(サイバートラック)を除けば新モデルを投入できていないこと、中国での激しい競争、さらにマスクの右派的な政治姿勢をめぐる米国と欧州での反発が、ブランドに影響している。したがって、イーロン・マスクが、テスラの将来をロボタクシー、AI、ロボティクスの中核企業になることに賭けているのは不思議ではない。いずれも現時点では、同社に意味のある収益をもたらしていない事業だ。
工場の余剰能力は自動車業界で最も一般的な問題の1つであり、高ボリュームの自動車メーカーが、テスラが2022年に示したような高い2桁の粗利益率(2022年、テスラの通年の粗利益率は約26%に達した)を達成するのが難しい理由でもある。自動車工場の建設や改修には数十億ドル(数千億円)がかかり、十分に稼働していない場合、その負担は重くなる。テスラにとって最も収益性の高い市場である中国でさえ、同社の上海工場は昨年、おそらく約85万台しか生産しておらず、公式の能力を10万台以上下回った可能性が高い。
欧州での販売急減とCybertruck不振で、最新工場が重荷に
同社の最新工場であるベルリンとオースティンは、昨年、最も稼働が低かった可能性がある。理由は単純で、欧州でのテスラ販売が昨年28%急減し23万5322台にとどまったこと(ベルリン工場は37万5000台超の生産を想定して設計されている)と、Cybertruckの販売不振が示すように、テキサスで同モデルを生産するための12万5000台の能力のうち、同社が使ったのは約4分の1にすぎないとみられることだ。
「ベルリンとオースティンを発表した6年前には資産になるはずだったものが、今や首にぶら下がる重しになっています。正当化できるだけの製品が市場にないからです」と、コンサルティング会社Sino Auto Insights(サイノ・オート・インサイツ)のマネージングディレクター、トゥ・リーはForbesに語った。「彼らは、発売から6年または9年経つ製品に頼って、ほぼ200万台を支えようとしています。生産能力が大きすぎます。そんなことは不可能です」。



