最新モデルのCybercabを生産予定とするものの、政府の承認は見えない
マスクは、テスラの最新モデルCybercab(サイバーキャブ)が4月にオースティンで生産開始になると述べているが、この2ドアEVの行方は決して明確ではない。マスクは、ステアリングホイールや従来型の操作系を持たない自動運転車として販売したい考えだが、現時点でテスラがそれを行うための連邦政府の承認を得ているようには見えない(また名称の商標登録もしていない)。単に3万ドル(約470万円)のEVとして販売されるだけなら、業界アナリストの多くは、同社にとって大きな上乗せ販売にはならないとみている。
「消費者向けの小売用途としてなら、ノーです。あなたや私が急いで買いに走るようなものではありません」と、S&Pのウォールは語る。ロボタクシーの車両群で使われれば台数は増える可能性があるが、「そのモデルの数量は非常に少ない」と述べ、詳細は語らなかった。
ネバダではTesla Semiの組立ラインを開設、しかし販売の行方は?
別途、テスラは今年、ネバダ州のGigafactory(ギガファクトリー)に新たな組立ラインを開設する予定で、年間5万台の電動トラックTesla Semi(テスラ・セミ)を生産できる設計だという。ただし、トランプ政権がゼロエミッショントラックに対する連邦支援を後退させていることを踏まえると、どれだけ売れるかははっきりしない。
販売低迷は2026年に終わると予測されるが、中国での競争激化が立ちはだかる
テスラは12月下旬、20人の株式アナリストの推計に基づくコンセンサスの販売予測を公表し、2年続いた販売低迷が2026年に終わり、納車台数は175万台になるとの見通しを示唆した。だが、連邦インセンティブの廃止を受けて米国のEV市場が今年は成長しそうにないとの見方、マスクに関連するブランドイメージの問題、そして中国での熾烈な競争を考えると、その増加分がどこから生まれるのかは見えにくい。
「私たちは今年、販売も生産も基本的に横ばいと見ています」とウォールはいう。
低調な稼働率への対策として工場を改修、人型ロボットの生産に乗り出す
低調な販売と工場稼働率は、マスクが11月のテスラ年次株主総会で、カリフォルニア州フリーモント工場を改修し、そこでヒューマノイドロボットOptimus(オプティマス)を生産すると述べた理由を浮き彫りにする。同工場は、2010年にトヨタから同社に譲渡された工場で、年65万台超を生産できる能力がある。
「フリーモントで、これまでで最速となる、大型で複雑な製造製品の生産立ち上げを行います。100万台の生産ラインをフリーモントに構築するところから始める。これが第1ラインです」と、マスクは昨年11月、オースティンで語った。「そしてオースティンに、年1000万台の生産ラインを作ります」。
マスクは、このロボットが家事をこなせるようになり、価格は2万ドル(約314万円)前後になる可能性が高いと述べている。ただし、実世界でどれほど有用なのかは、マスクの発言とは別に、不確定だ。それでも、余っている工場能力を新しい製品の製造で吸収できる可能性がある点は、テスラを従来型の競合と区別する。
ウォールは次のように述べる。「フリーモントやオースティンの工場について考えると、ロボットなども作れるのであれば、『この工場ではこの車種』と決めつける必要があるのか、という話になります。とはいえ、自動車事業の問題がすべて片付くわけではありません。余った生産能力の一部は埋められるかもしれませんが、シェアをできるだけ取ろうとしている中で、市場での立ち位置にまだ課題があるという現実から目をそらすことにもなりかねません」。


