2025年、エヌビディアやアルファベットといった派手なAI銘柄の話題が尽きない一方で、HDDやSSDといったデータストレージ関連株が大きく上昇した。
データストレージ大手のシーゲイトとウエスタンデジタルの株価は、過去1年でそれぞれ220%超、300%超も急騰した。アルファベットの上昇率65%、エヌビディアの35%と比べても、驚異的な伸びだ。米国のフラッシュメモリー製品メーカーも上昇しており、2月にウエスタンデジタルからスピンアウトしたサンディスク、またマイクロンテクノロジーは、前年比でそれぞれ約850%、約230%高となっている。背景にあるのは、AIモデルの学習と稼働に必要なデータストレージ需要の加速だ。AI生成テキストだけでなく、写真、音声、動画の用途が増えつつある。人々が、ふざけた動画やキャラクターからオリジナル曲まで次々に作り出すにつれ、こうしたモデルも膨大なデータを生み、その保存が必要になる。
「生成するテキスト、動画、画像が増えれば増えるほど、それらをより多く保存できるのが理想です。しかも、動画や画像の保存に必要な容量はテキストよりはるかに大きいのです」と、BNP Paribasで半導体およびITハードウェアの調査を統括するカール・アッカーマンは語る。
テック企業がAI開発の加速を競う中、各社は、膨大なデータを保存・処理するデータセンターの拡張に数十億ドル(数千億円)を投じることを約束してきた。マッキンゼーは、今後5年間でデータセンターの「ストレージ」だけに8000億ドル(約125兆5400億円)が投じられると見積もっている。これは、エヌビディア、AMD、インテルが手がけるGPUやCPUへの推定投資額3.5兆ドル(約549兆2200億円)に比べれば少ないが、それでもこの需要はデータストレージ企業の株価を過去最高水準へ押し上げるのに十分だった。
とりわけデータストレージメーカーにとっては驚くべき形勢逆転だ。10年前、HDDメーカーは崩壊寸前だった。2010年代、フラッシュストレージが、携帯電話やノートPCなど消費者向け機器で好まれるストレージになった。従来型のHDDより小型で効率的だったからだ。一方でHDDは、安価に大量データを保存する用途に適していた。アッカーマンによれば、フラッシュストレージ企業がHDD市場を食い、倒産や製造拠点の閉鎖、大規模な業界再編(統合)を招いた。1990年代には世界にHDD企業が約20社あり、その大半は米国に拠点を置いていた。現在、米国にあるのはシーゲイトとウエスタンデジタルだけで、ほかに東芝がある。需要が大幅に修正されたことで、データストレージ企業は損失を防ぐため供給を大きく縮小した。



