しかし、野心的なデータセンター建設では、コールドストレージ(長期保存用のストレージ)としてHDDが必要となるため、HDD需要は再び急増した。加えて、HDDはフラッシュストレージよりコストが最大で10分の1になり得る。「今はHDDが手に入らない」と、キャンター・フィッツジェラルドで半導体調査を統括するC.J.ミューズは語る。「主要なHDDプレーヤー2社は供給を増やしておらず、きわめて合理的に行動しています。過去10年に業界が味わった苦痛を考えれば、完全に筋が通っています」。
2025年10月に終了した四半期で、シーゲイトは売上高26億ドル(約4080億円)を計上し、前年同期比21%増となった。2025年6月に終了した会計年度の通期売上高は90億ドル(約1兆4100億円)で、前年度比39%増だ。ここ10年で最悪の年は数年前で、同社の2023会計年度(2024年6月期)は年間売上高が65億5000万ドルだった(約1兆300億円)。同じ四半期、ウエスタンデジタルは売上高28億ドル(約4393億円)で前年同期比27%増、2025年6月に終了した通期売上高は95億ドル(1兆4905億円)で前年度比51%増だった。
サンディスクやマイクロンといった米国のフラッシュメモリー勢に加え、サムスン、SKハイニックス、CXMT(シーエックスエムティー)などの海外勢も、HDD不足の恩恵を受けている。サンディスクは2025年10月に終了した四半期で売上高23億ドル(約3609億円)を計上し、前年同期比23%増だった。同じ四半期、マイクロンの売上高は前年同期比56%増の136億ドル(約2兆1337億円)へ跳ね上がった。「現在HDDを注文しても、その製品が手に入るのはおそらく12〜15カ月後でしょう」とミューズはいう。「急ぎの注文を満たそうとするなら、フラッシュメモリーで需要を満たすことになるでしょう」。
需要の強さと、供給過剰を作り出すことへの警戒から、HDDもフラッシュドライブも安くなっておらず、これがこれら銘柄の上昇余地を依然として大きくしているとミューズはいう。「業界は依然として景気循環型であり、いずれ消化局面は来るでしょう。ただ、サイクル全体を通じて、HDD主要企業にあたるシーゲイトとウエスタンデジタルの2社はいずれも売上高(トップライン)を10%〜15%伸ばせると思います」。


