ロシア国民はウクライナ侵攻をどの程度支持しているのだろうか? 従来の見解では、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月に開始したウクライナ侵攻は、大多数のロシア国民に支持されているとみられていた。欧州の当局者は長きにわたり、プーチン大統領の高い支持率や世論調査結果から、ウクライナ侵攻がロシア国内で広く支持されているものと解釈してきた。こうした解釈を基に、欧州連合(EU)は一般のロシア人の渡航を制限する措置を取っている。
プーチン大統領が選択した戦争は、かつては国民に広く受け入れられていたのかもしれない。しかし、ここへ来て、ウクライナに対する「特別軍事作戦」に対するロシア国民の支持が弱まりつつある兆候が明確に現れ始めている。というのも、同戦争に伴うあらゆる代償が膨らみ続けているためだ。
ロシアの独立系世論調査機関レバダセンターが実施したウクライナ侵攻に関する最新の世論調査では、交渉による解決ではなく戦闘継続を支持すると答えた回答者は、わずか25%にとどまった。これは侵攻開始以降の約4年間で最低の数値となった。一方、回答者の約3分の2に当たる66%は、長期化した消耗戦を終結させるため、ウクライナとの和平交渉を直ちに開始すべきだと答えた。
だが、この結果には注意が必要だ。ロシアでは近年、プーチン政権の権威主義的傾向が強まっており、世論調査機関や回答者の間に暗い影を落としているため、世論の把握がこれまで以上に難しくなっているからだ。こうした風潮から免れられる者は誰もいない。レバダセンターのような独立機関と見なされる組織でさえ、ロシア政府の(主に非公式な)枠組みの中で活動しなければならず、さもなければ完全に閉鎖される恐れがあるのだ。
とはいえ、昨年12月中旬に約1600人の国民を対象に実施された全国規模の世論調査は示唆に富む。なぜなら、この調査結果は否定しようのないほど広範な世論を映し出しており、そもそも公表される以上、結果には必ずプーチン大統領の側近の少なくとも一部の意向が反映されているからだ。
しかし、これはロシア政府自体が正当性を失っていることを意味するものではない。レバダセンターの調査によると、ロシア軍がウクライナで残忍な戦術と無差別破壊を行っているにもかかわらず、自国軍を支持すると答えた国民の割合は73%に上った。プーチン大統領の人気もいまだ衰えていない。戦争の行方が見えない中、ロシア人の過半数(52%)が同大統領のウクライナに対する対応を支持していた。他方でこれは、ロシア政府の軍事的失敗の代償が、それによって自国にもたらされるかもしれない利益を上回っていることを認識しつつある国民が増えていることを示している。
確かにロシアは、世論が支配層の意思決定に影響を与えられるような民主主義国家ではない。それでもなお、一般市民のウクライナ侵攻に対する熱意の減退は、自らの統治の正当性を偉大な帝国の復活に結び付けてきたプーチン大統領にとって、間違いなく厄介な問題を意味する。結局のところ、政治は全て地域的なものだ。つまり、国内で正当性を失いつつある戦争を、ロシア大統領府(クレムリン)といえどもいつまでも続けることはできないかもしれないということだ。
ここで欧州と米国の決意が弱まっていると認識されれば、それはロシアの軍事機構に燃料を追加するだけで、国内世論の悪化がクレムリンの計算に及ぼすかもしれない抑制効果を弱めることになるだろう。一方、欧米がロシアに対する圧力を強めれば、逆効果をもたらすことが予想される。ロシア国民に対しては、政府の現在の軍事冒険主義には具体的な代償が伴うことを強調すれば、ロシア指導部が正当性を維持するために頼っている支持基盤が弱まることになるだろう。



