Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は1月号(11月25日発売)より、「七賢 純米大吟醸 白心」。まず驚くのはふくよかな果実のような香り。口に含むととろりとしたテクスチャーのなかにほのかな甘みと酸味が感じられる1本だ。
近年、日本酒は世界の酒シーンにあっても確固たる存在感を放つようになった。その潮流を牽引してきたのが、国際的なコンペティションである。なかでも最も権威ある舞台として知られるのが、ロンドンで開催される「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」だ。これは1984年に始まった世界最大級のワイン審査会で、日本酒部門は2007年に創設。世界から集まった1000点を超える銘柄がブラインドテイスティングによって審査される。
純米大吟醸酒、純米吟醸酒、古酒などカテゴリーごとに金・銀・銅メダルが授与され、カテゴリーを超えて頂点に立つ一本に与えられるのが「チャンピオン・サケ」の称号。今年は「七賢 純米大吟醸 白心」(山梨)がこの栄誉ある最高賞に輝いた。
酒蔵である「山梨銘醸」は南アルプスの麓、白州町という名水の里で1750年に創業。「日本酒を世界に誇れる文化へ」という理念のもとに開発した「七賢 純米大吟醸白心」は農薬・化学肥料を通常の半分まで減らして特別に栽培した酒造好適米「夢山水」を27%まで磨き、ゆっくりと低温で発酵させたのち、さらに1年間マイナス5度で氷温熟成させた、特別な酒だ。
「まず驚くのはふくよかな果実のような香り。口に含むととろりとしたテクスチャーのなかにほのかな甘みと酸味が感じられ、どんなお料理と合わせようかと心躍りました」と語るのは「鮨 銀座おのでら 総本店」ほか、「銀座おのでら」各店で総支配人兼統括ソムリエを務める大橋哲蔵だ。「銀座から世界へ」をスローガンに、日本の美食を世界で展開する同グループと、やはり「世界へ」と志を同じくする酒が「チャンピオン・サケ」を受賞したと聞き、胸が熱くなったと話す。
「ロンドンは世界のアルコール市場を牽引するハブとなる都市ですから、そこで優勝して知名度を高めることは極めて重要。これまで外国人のお客さまは簡単に『SAKE』とオーダーする方が多かったのですが、最近は産地やタイプを気にされる方も。ワインが日本で広まったときのように、米、産地、生産者など日本酒のテロワールにかかわる情報をお伝えしていくことで日本酒人気はより高まっていくことでしょう」
大橋が薦める握りずしと「白心」の相性はどれも抜群であったが、なかでも出色はイカ。そのねっとりとしたうまみが酒のテクスチャーにマッチし、食べる直前に搾ってくれたスダチが余韻のなかにある柑橘香を引き出していた。日本で暮らしていてよかった、と感謝したくなる一瞬だ。
七賢 純米大吟醸 白心

容量|750ml
原料|夢山水(減農薬減化学肥料特別栽培米)
価格|22000円(参考小売価格)
問い合わせ|山梨銘醸 https://www.sake-shichiken.co.jp/



