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2026.01.25 15:00

フォーブス『全米非公開企業ランキング』に初選出、売上高2兆円の化学品商社Tricon Energy

Tricon Energy創業者でCEOのイグナシオ・トーラス(Yi-Chin Lee/Houston Chronicle via Getty Images)

ウクライナ戦争の混乱を好機と捉え、豊富な資金力を背景に買収を加速

パンデミックに続いて起きたウクライナ戦争は、価格を押し上げ、物流を混乱させた。その結果、Tricon Energyは記録的な好業績を収めた。「最高の化学品サイクルは、原材料価格と金利のインフレが同時に起きたときに生まれる。そうなると在庫を抱え込む動きが強まる」とトーラスは説明する。2020年から2022年にかけて、同社の売上高は100億ドル(約1.6兆円)へと倍増した。

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銀行からの巨額融資を活用し、経営難に陥った物流拠点や競合部門を手に入れる

2023年に入り、供給過剰が表面化するにつれて市場環境は悪化し始めた(もっとも、わずかな明るい話題もあった。スペイン国王一家がヒューストンを訪問した際、スペイン王妃からトーラスに「ソフィア賞」が授与されたのだ)。しかしトーラスは、守りに入るどころか、新たな攻勢に打って出た。フランスのソシエテ・ジェネラルや日本の三井物産、丸紅などから、現在では総額27億ドル(約4185億円)に達する与信枠を確保したトーラスは、業績不振や清算手続きに入った企業を次々と買収するため、数千万ドル(数十億円)規模の資金を投じてきた。2023年には、Q-LogisticsとPolymatを買収し、メキシコでターミナル3拠点と倉庫5棟を取得。2024年には、経営破綻したオーストラリアのプラスチックメーカー、ケノスの販売部門であるeXsourceを傘下に収めた。

2025年に入ってからは、南アフリカのダーバンを拠点にエクソンモービル製品を扱うディストリビューター、West African Internationalの株式25%を取得している。「悪い時こそ、良い時に備えるんだ」とトーラスは語る。

トランプ関税対象の製品を代替品に切り替える提案で、顧客のコスト負担を低減

トランプ政権の関税政策は、業界の苦境に追い打ちをかけ、コスト上昇を加速させた。Tricon Energyは、グローバル事業を守るため、顧客に対して価格変動リスクのヘッジや関税回避の手法を提供している。具体的には、関税の対象となる化学品を、関税のかからない派生品に置き換えるというものだ。例えば、トランプ政権が25%の関税を課して以降、韓国産ベンゼンの輸入量は半減したが、Tricon Energyの提案を受けた顧客は、ベンゼンの代わりに、関税が免除されているアセトンやスチレンモノマーなどに切り替えている。

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翻訳=上田裕資

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