食&酒

2026.01.11 14:15

史上最速で一つ星獲得 「マージ」柴田秀之シェフのビジネス脳

「マージ」オーナーシェフの柴田秀之氏

「マージ」オーナーシェフの柴田秀之氏

焼き上げたばかりの立方体のクロワッサンに、その場でキャビアやハーブペーストをたっぷり塗って前菜を仕上げたり、大鰻の炭火焼きをヴィネガーで味をつけたライスにのせてのりではさんで寿司のように仕立てて供したり、ボタンエビを中国料理の酔っ払い海老のようにアルコールに浸けてマリネしたり。

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いずれも香りと味のダイナミズムがこれでもかというほど伝わるパフォーマンスを体感させてくれる。2025年6月にオープンし、史上最速でミシュランの一つ星を取得したモダンフレンチレストラン、「マージ」の魅力の一端だ。

オーナーシェフの柴田秀之氏は「モナリザ」の河野透氏の元で研鑽を積んだのち、渡仏。帰国後モナリザで料理長を務め、9年ほど前に白金に「ラクレリエール」をオープンさせ、ミシュラン一つ星を取得した。

しかしながら、20歳の頃からずっと心に誓ってきた、三つ星を取って世界に出るという夢を実現するために新たなるフェーズへと、2024年で「ラ クレリエール」を閉め、1年間国内外を回り、25年6月に「マージ」をオープンした。

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「今目指していることは、レストランではなくメゾンを作ることです。料理屋ではなく料亭を目指すと言えばわかりやすいでしょうか」と柴田氏。

何が違うのかというと、レストランとは一皿一皿にぎゅっとフォーカスした店で、メゾンとは店内に一歩足を踏み入れた瞬間から、店を出て、その余韻を翌朝まで持ち越して感動できる店のことだという。確かに立体的な味と香りのハーモニー、印象的なパフォーマンスやこなれたサービスは、翌朝までも幸福感をもたらしてくれた。

オーナーシェフとして1日9時間ほどはプレイヤーとして料理を作ることに専念しているが、残りはマージの価値を高めるためのビジネスモデルの構築の追求に時間を割き、真剣に取り組んでいる。「リーダーとしてすべきことは、ゴールをはっきり提示することと、マージに人生をかけている姿を見せること」と。その先に100年続く店を思い描いている。

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文=小松宏子 編集=鈴木奈央

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