フォーブスは2025年3月、39回目となる年次の「世界長者番付(World’s Billionaires List)」の2025年版を発表した。その後12月に「世界長者番付トップ10」2025年12月版を公開している。
2025年は人工知能(AI)ブームにより、40歳未満で自力で富を築いたビリオネアの数が急増し、過去最多だった2021年と同数の71人に達した。フォーブスはこれらビリオネアを追跡しており、本稿ではそのうち上位40人をフォーブス「40 Under 40」2025年版として紹介する。
AIブームで若手が急増、ザッカーバーグ後の新たな最年少ビリオネアは?
2008年、メタCEOのマーク・ザッカーバーグは23歳で史上最年少の自力で富を築いたビリオネアとなった。その6年後、彼はフォーブス「世界長者番付(World’s Billionaires List)」で、グーグル共同創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンを抜き、40歳未満としては世界で最も裕福な自力で富を築いたビリオネアとなった。ザッカーバーグは、2024年5月に40歳になるまで、史上最長となる11年連続でその座を守り続けた。2025年3月発表のフォーブス「世界長者番付」2025年版では、決済大手ストライプを率いるパトリック・コリソン(37)とジョン・コリソン(35)兄弟が、ザッカーバーグに取って代わったが、その座は長くは続かなかった。
フォーブス「40 Under 40」の新たな1位はエドウィン・チェン(38)、資産約2.8兆円を保有
2025年秋に新たに、40歳未満で最も裕福な自力で富を築いたビリオネアとなったのは、180億ドル(約2.8兆円。1ドル=156円換算)の富を築いたAI向けデータラベリング企業Surge AI(サージAI)創業者、エドウィン・チェン(38)だ。フォーブス「世界長者番付」2025年版の発表以降に、新たに27人が自力で富を築いたビリオネアの仲間入りを果たしたが、そのほぼ半数がAI分野で財を成している。
40歳未満の人数は計71人となるものの、総資産額は約34兆円とほぼ半減
フォーブスの集計では、2025年12月時点で40歳未満で自力で富を築いたビリオネアの数は、71人に達した。コロナ禍による株式市場の熱狂により、史上最多を記録した2021年の71人に並んだ形だ。それ以降は、バブルの崩壊と年齢要件から外れる人が相次ぎ、2023年には34人まで減少していた。
これら若手ビリオネアのうち、11人を除くほぼ全員が、テクノロジー分野(48人)もしくは金融・投資分野(12人)で富を築いている。国籍別では、米国籍が32人と全体の半数弱を占め、中国(8人)、インド(6人)、オーストラリア(3人)、スウェーデン(3人)、カナダ(3人)が続いた。また8人が女性だった。
ただし、ここに挙げた71人の若手ビリオネアが保有する総資産額は、2021年の水準には及んでいない。現在71人の資産の合計は2180億ドル(約34兆円)と巨額ではあるものの、2021年の総額4440億ドル(約69.3兆円)のほぼ半分にとどまっている。当時は、ザッカーバーグのみで970億ドル(約15.1兆円)の資産を保有していた。
著名セレブ、女性ビリオネア、最年少ビリオネアがフォーブス「40 Under 40」圏外に
現在Surge AIのチェンの資産額は、2021年当時のザッカーバーグの約5分の1にとどまっている。フォーブス「40 Under 40」2025年版の最下位2枠には、フードデリバリー大手DoorDash(ドアダッシュ)のアンディ・ファン(33)と、暗号資産取引所Bullish(ブリッシュ)のブレンダン・ブルーマー(39)が並び、両者の資産額はともに18億ドル(約2808億円)となっている。この水準には及ばないテイラー・スウィフト(36。資産16億ドル[約2496億円])やリアーナ(37。同10億ドル[約1560億円])はフォーブス「40 Under 40」2025年版に入らなかった。
最年少クラスのビリオネアの中にも、フォーブス「40 Under 40」2025年版に入らなかった者がいる。あらゆる出来事を賭けの対象とする予測プラットホームKalshi(カルシ)の共同創業者ルアナ・ロペス・ララ(29。資産13億ドル[約2028億円)])は、12月に世界最年少の自力で富を築いた女性ビリオネアとなったが、上位40位圏外だった。AIデータラベリング企業Mercor(メルコア)の共同創業者3人(それぞれ22歳)も、10月に史上最年少の自力で富を築いたビリオネアとなったものの、同様にランク外となった。
これら若き富豪の中から、果たしてセルゲイ・ブリンやマイケル・デル、マーク・ザッカーバーグと並ぶ、長期的な成功を収める人物が現れるのかどうかは、まだ未知数だ。あるいは、社内の倫理調査の後に5月に解任されたと報じられたLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)の創業者オースティン・ラッセル元CEOや、複数の詐欺を主導した罪で25年の禁錮刑で服役中のFTXのサム・バンクマン=フリードのように転落する人物が現れる可能性もある。しかし、1つだけ確かなのは、ここから勝者と敗者の両方が生まれることだ。



