億万長者であるエヌビディアのCEO、ジェンスン・フアンは、カリフォルニア州で提案されている億万長者への課税について「まったく構わない」と述べた。この提案を批判し、州外移転を示唆したシリコンバレーの同業テック幹部らとの間に、鮮明に一線を画した形だ。フアンは、同社がカリフォルニア州にとどまるのは「人材プールがあるのはそこだからだ」として、残留方針を示した。
フアンは米国時間1月6日、ブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、億万長者税について「1度も考えたことがない」と語った。エヌビディアは複数の国にオフィスを持つが、「人材プールがあるのはシリコンバレーだから、そこで仕事をしている」と述べた。
エヌビディアCEOのこうした泰然とした反応は、他の億万長者の反応とは対照的である。ニューヨーク・タイムズは12月、Palantir(パランティア)のピーター・ティールや、グーグル共同創業者のラリー・ペイジが州を離れることを検討していると報じた。
実際、報道によれば、ティールの個人投資会社であるティール・キャピタルは2025年末までにマイアミに新オフィスを開設したという。
トランプ大統領の「AI czar」(AI担当責任者)であるデービッド・サックスや、ベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤを含む他のテックリーダーも、ソーシャルメディア上で憤りを示している。サックスはその後、テキサス州オースティンにオフィスを開設した。
フアンは世界有数の富豪の1人であり、住民投票の措置が成立すれば、カリフォルニア州の「10桁(10億ドル[約1567億円])超課税」に直面し得る。
「この人はAIの未来をつくろうとしているのです」
「私たちはシリコンバレーに住むことを選びました。彼らがどのような税を適用したいのであれ、そうすればいいです。私はまったく構いません。頭をよぎったことさえ1度もありません」。フアンは火曜日、ブルームバーグ・テレビジョンにこう語った。インタビュアーが、提案されている税について多くのテック幹部が話題にしていると指摘すると、フアンは「そうとも限りません。少なくとも『この人』は違います」と応じ、自分自身を指して「この人はAIの未来を作ろうとしているのです」と述べた。
フォーブスは、フアンの純資産を1629億ドル(約25兆5220億円)と推計しており、世界で8番目の富豪としている。その主たる源泉は3%を保有するエヌビディアの株式だ。フアンは1993年にグラフィックスカード企業として同社を共同創業し、その後、高性能GPUを求めるAI産業の需要を支える方向へとかじを切ったことで、時価総額で世界最大の企業へと成長した。
フアンの納税額は約1兆2534億円になる可能性
カリフォルニア州の「2026 Billionaire Tax Act」(2026年億万長者税法)は、純資産が10億ドル(約1567億円)超の個人に対し、1度限りの5%課税を課す内容だ。仮に火曜日時点の純資産を基準に課税されるなら、フアンの税額は80億ドル(約1兆2534億円)超になり得る。
カリフォルニア州の労働組合が、億万長者税法を、トランプ政権の削減によって連邦資金を失う恐れがある州の医療、食料支援、公教育を支える手段として提案した。この法案が2026年の投票用紙に載るには87万4641人の署名が必要で、その後、カリフォルニア州の有権者の過半数の承認が必要となる。現時点で、どれほどの署名を得ているかは不明である。法案が可決された場合、この税は1月1日以降に州内に居住している億万長者にのみ適用される。



