起業家

2026.01.17 16:00

家族経営で評価額6000億円、全米トップのビーフジャーキー「ジャックリンクス」を生んだ79歳

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ChompsやArcherなど新興ブランドが台頭

ジャックリンクスに圧力をかける新興ブランドの代表格が、Chomps(チョンプス)だ。同社の推定年間売上高は2024年から約150%増の4億ドル(約632億円)に達し、関係者の間では、新規株式公開(IPO)を視野に入れているとの見方もある。ChompsはIPOの可能性についてコメントを控えたが、2025年の全米のミートスナック市場全体の売上成長のうちの22%超を自社ブランドで牽引したと主張している。

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Archer(アーチャー)ももう1社の競合だ。2025年の推定売上高が2024年から60%以上増加して3億ドル(約474億円)に達した。同社ブランドの購入者の約70%が、これまでミートスナックを買ったことがなかった消費者、あるいは従来より支出を増やした消費者であることから、来年には売上高が5億ドル(約790億円)に達する可能性もある。Archerの創業者兼CEOのユージン・カンは、2019年のフォーブス30 Under 30に選出された。カンは「ジャックリンクスがこの分野の高速道路を切り開いた。最終的には、両者が共存できる余地がある」と述べている。

Archerは投資会社モノグラム・キャピタルの支援を受けている。同社は2025年、ArcherやChomps、Fatty(ファッティ)向けにミートスティックを製造する業界有数の受託メーカー、ウエスタン・スモークハウスを、負債込みで約5億ドル(約790億円)で買収した。また、この分野には上場企業コナグラの支援を受ける企業も存在する。同社は老舗ブランドのSlim Jim(スリム・ジム)を擁するほか、2017年にDuke(デュークス)のミートスナックを手がけるサナシ・フーズ、2024年にはFattyを展開するスウィートウッド・スモークを買収している。

トロイは、自身もいくつかの競合ブランドを買収したいと考えているが、「いつもプライベートエクイティに競り負けてしまう」と打ち明ける。「ミートスナックは、これまでで最も存在感のあるカテゴリーになっている」と彼は指摘し、業界はなお成長局面にあると語る。今後5年間、同市場は年率11%の成長が見込まれている。「スナックを販売する、すべての企業が競合だ」とトロイは語る。

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著名ユーチューバーと組みZ世代を開拓、新規顧客の獲得に向けて訴求強化

こうした考えを背景に、ジャックリンクスはZ世代への訴求を強化している。その象徴が、世界で最も視聴されているユーチューバー、ジミー・ドナルドソンとのコラボレーションだ。ドナルドソンは、日頃からジャックリンクスの商品を購入している「ミスター・ビースト」として知られている。ジャックリンクスとドナルドソンの両者は、ビーフスティックとターキースティックを共同開発し市場に投入した。これまでに、この商品を購入した顧客の57%が、ジャックリンクスの商品を初めて手にした消費者だという。

新規顧客の獲得に向けて、ミートスティック事業の拡大は極めて重要な意味を持つ。ミートスティックは、ジャーキーよりも成長スピードが速いカテゴリーだからだ。そうした背景から、トロイはブランドの存在感を保つことに注力している。2025年初めには、自動車レースNASCARのサーキットであるタラデガ・スピードウェイのスポンサーとなり、それまで「Geico 500」と呼ばれていたレースの名称を「ジャックリンクス500」に改称した。この名称は2027年末まで使用される。

約711億円の新工場でスティック生産を拡大

ミートスティックは、ジャックリンクスの事業において、今や欠かせない存在となっている。同社は2025年、ジョージア州ペリーに、ミートスティックとチーズスティックの製造に特化した新工場を稼働させた。この工場の建設には、現金と税制優遇を合わせて4億5000万ドル(約711億円)が投じられている。延床面積は約3万7160平方メートルで、1日あたり最大82万本のスティックを生産できる。新工場は、トロイがウィスコンシン州と行き来しながら暮らすフロリダ州の自宅にも比較的近い場所にある。

今後についてトロイは、ジャックリンクスは引き続き家族経営を維持すると明言する。妻ロリッサは、食物アレルギーを持つ3人の子どもの末っ子に着想を得て、アレルゲン不使用のミートスナックブランド「ロリッサズ・キッチン」を運営している。将来的には、子どもたちがリンク・スナックスで役割を担う可能性もあるという。

では、ジャック・リンク本人は、1世代、2世代先の会社の姿をどう思い描いているのか。その答えは明快だ。「大きいほうがいいに決まっている」と彼は語った。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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