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2026.01.17 16:00

家族経営で評価額6000億円、全米トップのビーフジャーキー「ジャックリンクス」を生んだ79歳

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ジャック・リンク(79)が1985年に立ち上げた家族経営の企業リンク・スナックスは、評価額40億ドル(約6320億円。1ドル=158円換算)規模という世界最大のビーフジャーキーメーカーに成長した。「ジャックリンクス」(Jack Link’s)ブランドとして展開しており、日本でも販売されているため、ファンだという人はいるだろう。ジャックリンクスは米国内20万店と世界55カ国で展開し、年間8億パック超を生産しており、創業者本人とその息子は今なお成長への意欲を失っていない。

コンビニで買ったジャーキーの価格に驚き、自分で焼いてみた

1985年、ジャック・リンクがウィスコンシン州で営んでいた食肉加工事業を倒産させたばかりのことだ。リンクは、当時10代だった息子たちを連れて狩猟に出かけ、途中で立ち寄ったコンビニエンスストアで数袋のジャーキーを購入した。会計を済ませたリンクは、その価格の高さに驚いた。

リンクは「『ずいぶん高いな』と思ったんだ」とフォーブスに語る。そのときの気づきは、リンクの頭から離れなかった。彼はやがて、自分でも同じような製品を作れることに気づいた。しかも操業停止中の工場には、オーブンが残っていたのだった。「そのオーブンにジャーキーを並べて焼いてみたら、本当に見事な出来だった。すべては、そこから始まった」とリンクは語る。

曾祖父残したレシピを受け継ぎ、米国ミートスナック市場の34%を握る

リンクのジャーキーは、1880年代にドイツから移民してきた、曾祖父が残したレシピを用いたものだ。売り出したところたちまち評判となり、やがて「ジャックリンクス」というブランド名で全米で売上トップのジャーキーブランドへと成長した。この事業の推定年間売上高は20億ドル(約3160億円)に達し、米国のミートスナック市場の34%を握るまでになった結果、リンクはビリオネアとなった。

「私はジャーキーのおかげで救われた」と語るリンクは今も、子どもたちを育てたウィスコンシン州の家で暮らしている。

投資家主導のブーム・過熱する競争を生き抜き、王者としての地位を守る

ジャックリンクスのビーフスティックやジャーキーは現在、米国では主要小売チェーンのほぼすべてで取り扱われ、販売店舗は20万店を超える。世界55カ国以上で展開中しており、年間8億パッケージ以上の肉製品を製造している。

年間売上高が90億ドル(約1.4兆円)規模の世界のミートスナック市場は、過去10年で投資家主導のブームに沸き、10億ドル(約1580億円)規模の資金流入や、上場企業による数億ドル(数百億円)規模の買収が相次いだ。その中でジャックリンクスは、過熱する競争を生き抜き、王者としての地位を守り抜いた。急成長を遂げながらも途中で失速した競合が少なくないことを考えれば、その存在感は際立っている。

この成長の過程で会社の舵取りを担ってきたのが、ジャックの次男トロイ・リンク(53)だ。2013年、父ジャックが会長職に退くのに伴い、トロイはCEOに就任した。トロイは、競争環境は厳しいと認めつつも、なお成長の余地は大きいと語る。「信じられないかもしれないが、我々にはまだ多くのチャンスが残っている」と断言する。

評価額は少なくとも約6320億円、完全な家族所有企業で売却の意思はない

リンク・スナックスは完全な家族所有企業であり、リンク家は売却にほとんど関心を示していない。仮に同社が買収されることがあるとしても、その額は相当な規模になりそうだ。あるプライベートエクイティ投資家は、「ぜひ所有したい事業ではあるが、オーナーが考える評価額を前提に買いたいとは思わない」と話す。フォーブスは、この事業の価値を控えめに見積もっても40億ドル(約6320億円)と算定している。なお、ジャックリンクスは財務内容についてのコメントを控えた。

コンビニや空港売店での高い利益率に支えられ、粗利益率は30%を超える

同社の収益力は極めて高い。フォーブスは、コンビニエンスストアやハドソン・ニュースのような空港売店での高い利益率に支えられたリンク・スナックスの粗利益率が、30%を超えると推定している。また、年間のEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は推定約2億ドル(約316億円)に達している。「我々は安易な道を選ばないことで、優先順位を守り、長期的な視点に集中している」とトロイは語る。

トロイは、肉原料の価格が高騰する足元の環境についても触れ、「今はコストが急騰しているが、我々には耐え抜くための余裕がある。状況が落ち着くのを待つことができる」と語る。彼はまた、こう続けた。「この状態が永遠に続くわけではない。問題は、どれだけ長くそれに耐えられるかだ」。

またこの分野では、ChompsやArcher、Fatty Smoked Meat Sticksといった新興ブランド、スタートアップが急成長しつつあるものの、巨大な規模を誇るジャックリンクスは成長を続けている。「必要なのは、粘り強さとやり続ける覚悟だ」とジャックは語る。

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翻訳=上田裕資

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