クマは冬眠に備えて、秋に大量のドングリを食べる。だからドングリが不作の年は、食べ物を探しに山から人里に下りてくるというのが定説になっているが、どうも違うらしいことが最新の研究で判明した。
東京農工大学、島根県中山間地域研究センター、ノルウェーのNord大学、国立環境研究所からなる国際研究グループは、島根県に生息するツキノワグマの脂肪量に関する調査を行っている。クマがいつ何を食べ、どのように脂肪を蓄えて、どのように代謝しているのかを詳しく調べると、1年間のクマの栄養状態がわかる。
秋になるとクマは冬眠に備えてブナ科の木の実、つまりドングリを大量に食べる。そのときに食べるドングリは、1年間に摂取するエネルギー量の7〜8割に相当するという。クマにとってドングリがいかに重要な食料であるかがわかる。
蓄えた脂肪は冬眠中の絶食状態で多くが代謝されるが、春から夏にかけてクマが好む食料が少なくなる時期にも代謝が続き、夏にはエネルギー収支がマイナスになることもあるという。そのため、ドングリが不作だと十分に脂肪を蓄積できず、その影響は夏まで大きく響く。そこで背に腹は代えられず、たくさんのクマが食べ物を求めて人里に下りてくる……、とされていた。



