しかし今回の調査で、クマは冬眠中に代謝しやすい皮下脂肪を使い、春から夏にかけては内臓脂肪、それが尽きると骨髄脂肪を代謝するという、3種類の脂肪をうまく使い分けて自らの栄養状態をコントロールしていることがわかった。
さらに、ドングリが不作の年に街に現れ「有害捕獲」されたクマを調べたところ、どのクマも十分な脂肪蓄積量があり、栄養状態は良好だった。つまり、栄養状態の悪化が山から下りるというクマの行動変容をもたらしたのではないことが示唆されたわけだ。
研究グループは、そのことが「集落内に放置された未収穫のカキやクリの果実などの、目の前の魅力的な誘引物の存在が出没を引き起こすことを示しています」と話す。たとえドングリが不作の年に山に大量のドングリを蒔いたとしても、簡単に手に入るおいしい食べ物が街にあることを知ってしまったクマたちには、もはや効き目はないということだ。むしろクマの数を増やすだけになりかねない。
やっぱり原因は人間の側にあった。クマを呼び寄せる要因を取り除く。クマの侵入経路を遮断する。さらにクマの生活域と人間の居住地の間に緩衝地域を設ける「ゾーニング管理」といった複数の対策を組み合わせて、「人間とクマとの緊張関係を再構築」することが重要だと研究グループは訴えている。


