6. エンパワーメント(権限移譲)
「チームに権限を委譲している」。この言葉を耳にしたことがあるだろう。だが何も変わっていない。
リーダーは「決定を任せる」と宣言する。度量が大きいように聞こえ、進歩的に感じられる。そして誰かがリーダーの意に反する決定を下すと、突然新たな承認プロセスが導入される。あるいは委任された権限を行使しようとした人が、意義あることをするのに実際には権限もリソースも支援もないことに気づく。
副社長が「成果に責任を持つ権限をチームに与えた」と宣言する。3週間後、誰かが調達部門を通さずにベンダー契約を承認する。副社長は「決定プロトコルの明確化」のための会議を招集する。新たなプロトコルでは500ドル超の購入には3人の承認が必要となる。これはエンパワーメントではない。
リソースなきエンパワーメントは責任の放棄だ。決定権のないエンパワーメントは見せかけに過ぎない。DuolingoとLinkedInの調査によると、プロフェッショナルのほぼ半数が専門用語の使用をなくしたいと考えている。その理由は「意味を解読するのにストレスがかかり、生産性が低下する」からだ。「エンパワーメント(権限移譲)」という言葉は、こうした不満に思う用語リストの上位に常にランクインしている。リーダーたちが、従来と変わらないコントロールを効かせる構造を維持しながら、啓発されたように見せかけるために使うお決まりの言葉だ。
代わりに求められるもの
障害を取り除き、決定権限を明確にすること。もし人に権限移譲したいなら、「この決定はあなたが行う。利用できるリソースはこれだ。境界線はここだ。支援が必要な時はこう頼むといい」と明確に伝える。そして邪魔をしないこと。真の取り組みはエンパワーメントを宣言することではない。人々が行動するのを阻むシステム、幾重もの承認手続き、曖昧な責任の所在、積極性に報いるより失敗を罰する文化などをなくすことだ。
これらのバズワードと共に消えるもの
本稿で挙げたバズワードは無作為にダメになったわけではない。共通の構造を持つ。具体性を回避しながら行動を装う、リーダーが忙しそうに見せつつ困難な選択を避けられるようにする、アラインメントやイノベーション、エンパワーメント、戦略的機敏性を約束しながら測定や検証が不可能な抽象性を要求するといった構造だ。
2026年に優れたリーダーは印象的な言葉を使わない。具体的な言葉を使う。シナジーやアラインメント、エンパワーメントを約束しない。問題を明確に指摘し、自らの取り組みを示す。そして分からない時は、その事実を認める。
それはスライド向けではないだろうが、実際に何かを意味するかもしれない。
問題は、次にどのバズワードが消えるかではない。あなたがバズワードなしに率いる意思があるかどうかだ。


