「合意」をなぜ「アラインメント」と感じてしまうのか?
合意は心地よい。合意に至ることでリーダーは、「ひと仕事終えた」気分になる。会議はつつがなく終了し、方針が固まったように思える。ペースの速い環境では、こうした達成感は魅力的だ。リーダーは、不確実性に足を引っ張られることなく、前に進めるからだ。
心理学的に見ると、人は摩擦よりも調和を好む。集団の力学に関する研究から、人は異論があっても、それを表明することで集団の結束が脅かされるおそれがあると感じる場合には、しばしば抑え込んでしまう。これは、とりわけそれぞれが持つ権力に格差がある場合に顕著だ。部下は概して、表面的には合意し、疑念を内に留めておく傾向にある。
リーダーも意図せず加担
このような風潮に、リーダーも意図せず加担してしまう。リーダーが早い段階で自分好みの答えを示すと、議論の流れが固定される。ほかのメンバーは、リーダーの意見を軸として、自分の意見を調整する。こんな時、多様な意見が1つに収束したように思えても、実際に起こっていることは、密かな迎合だ。グループは、表面的には合意に達するが、それぞれの意図は異なっている。
こうして、見せかけのアラインメントが完成する。皆が同じ言葉を口にするが、それぞれが意図するものは異なる。「優先事項」「緊急要件」「成功」といった言葉が、共通認識であるかのように飛び交うが、実際には異なる意味で解釈される。遂行が滞るのは、全員が同じ目的地に向かっているという理想が、実態を伴っていないからだ。


