欧州

2026.01.06 10:00

2025年にロシアのエネルギー情勢を揺るがした5つの出来事

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2. ロシア軍によるウクライナのエネルギー施設への攻撃

ロシア軍はウクライナの民間エネルギー施設に対する攻撃を継続している。ウクライナでは2025年、発電所や変電所、送電線、ガス施設が繰り返し攻撃を受け、冬を前に被害が増大した。ロシア軍が同年12月26日夜に行った攻撃では、500機の無人機と40発のミサイルが投入され、ウクライナの首都キーウで1人が死亡、30人が負傷し、数千人が電力と暖房のない生活を強いられた。

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累積的な被害は甚大だ。25年半ばまでに、ウクライナは総発電容量の半分以上を失った。戦争の初期段階で同国の火力発電所の多くが損傷を受けたため、ロシア軍はガス施設を標的にするようになった。ガス施設への攻撃により、ウクライナでは輸送や暖房供給が妨げられた。原子力発電所は直接攻撃を免れたが、送電網への攻撃により出力削減を余儀なくされ、原子炉ではなく送電網の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈した。

3. 影の船団と西側による制裁の限界

西側諸国がロシアの影の船団に対する制裁を科すまでに4年を要した。それまでに貴重な時間が失われた。この制裁が戦争開始直後の22年3月の時点で発動されていれば、ウクライナの状況は変わっていただろう。西側諸国は25年、ついにロシアの影の船団に対する制裁を強化したが、取り組みは依然として不完全だ。米国のジョー・バイデン政権は同年1月、183隻のロシアの船舶に制裁を科した。欧州連合(EU)と英国は、制裁対象の拡大、海上保険の禁止、港湾の制限に踏み出した。同年半ばまでに550隻以上の船舶がEUの制裁対象となり、影の船団の船舶の約3分の2が何らかの制限を受けるようになった。

影の船団の規模は900~1600隻と推定されている。その多くは所有権が不透明で、国旗を偽り、欧米以外の海上保険の下で運航されている。船舶が制裁を受けると、代替船舶が就航した。公海上での取り締まりは限定的なものにとどまっている。統一された登録簿もなく、取り締まりを強化する意欲も乏しい。

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影の船団に対する衝撃は大きかったが、致命的ではなかった。25年後半にはロシアの海上原油輸出は日量336万バレルにまで落ち込み、23年半ば以来の低水準となった。歴史的な原油安の中、ロシアの収入は縮小した。それでもなお、影の船団は主に中国とインド向けにロシア産海上原油の大部分を運び続けていた。こうした輸送は米国の監視が強化される中でも続いた。欧米が対応を調整し取り締まりを強化すれば、影の船団の解体に向けて大きな成果が期待できるが、米国のドナルド・トランプ政権と欧州諸国との緊張が高まる中では実現は難しいだろう。

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翻訳・編集=安藤清香

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