衝突がないことを「相性の良さ」と呼んでしまう
「私はただ衝突するのが嫌いなだけだ」という言葉は、セラピーの場で最もよく耳にする表現の1つだ。しかし、衝突を回避することが、情緒的な成熟と頻繁に混同されていることを、多くの人は知らない。
ある研究が、その理由を理解する助けになる。ジョン・ゴットマン博士による研究は、人間関係の失敗を最も強く予測するのは、衝突の不可避性ではなく、衝突がどのように扱われるかであることを示している。決して口論をしないカップルが、頻繁に衝突するカップルより健康的であるとは限らない。実際、前者の場合では、一見すると調和した関係のように見えても、実は情緒的に離脱した関係である可能性がある。
2022年の研究は、ここに重要なニュアンスを加えている。成長志向で、開放的かつ表現力が高い「促進焦点的(promotion-focused)」のパートナー同士の場合、感情の抑制度が低いほど、人間関係により高い満足度を感じることを指摘している。
意見の相違が一貫して回避されたとしても、その相違が自然消滅するわけではない。ある意味、それは「地下に潜り」、後になって受動的な攻撃性、情緒的な距離、突然の無関心さ、あるいは漠然とした孤独感として再び現れることになる。
このパターンを断ち切るには、衝突することは、危険なものではなく、「データ」を集めるための行為だと理解する必要がある。意見の衝突は、関係の中で再調整が必要なニーズ、価値観、境界について、両者に情報をもたらすものなのだ。
口論をすることは、その関係が存続しうるかどうかを決めるための投票行為ではない。関係の安全性を決めるのは、断絶そのものではなく、その後に行われる修復の試みである。健全で、適応的な、衝突を解決するためのスキルは、不快感をも乗り越えられる親密さを育てるのだ。
まずは、不快感が固まってしまう前に、それを早期に言語化する習慣を身に付けることから始めてみよう。そのためには、相手の心を読もうとするのではなく、それを知りたいという好奇心を持ち、相手に同意することよりも、理解することの方がはるかに重要だと考えてみよう。


