フランス・パリの観光名所ルーブル美術館は、警備体制の不備や老朽化した設備、膨大な来館者数といった問題を抱えながら、激動の10年を迎えようとしている。長年遅れていた改修の費用を賄うため、ルーブル美術館は14日から、欧州連合(EU)とシェンゲン圏外からの訪問者の入館料を現行の22ユーロ(約4000円)から45%引き上げ、32ユーロ(約5900円)にすると発表した。日本人も値上げの対象となる。
ルーブル美術館にとって試練の年となった2025年
美術館としては世界で最も多くの人が訪れるルーブル美術館にとって、昨年は試練の年となった。
● 10月、建設作業員に扮した窃盗団が高所作業用のリフトを使って同美術館に侵入し、わずか8分足らずで8800万ユーロ(約162億円)相当の貴重な宝飾品を盗み出した。
● 同美術館の職員は6月以降、深刻化する混雑や悪化する労働環境、増大する安全上の懸念を理由に、定期的なストライキを実施している。
● 11月下旬、深刻な漏水により300点以上の学術誌や科学文書が損傷し、老朽化した設備の管理に対する懸念も生じている。
フランス政府は同美術館の改修に推定7億~8億ユーロ(約1300億~1500億円)を投じる計画で、外国人向けの入館料の値上げによる増収分で一部を賄う見通しだ。仏紙ルモンドによれば、同美術館の来館者の69%がEU域外またはシェンゲン圏外から訪れており、値上げによる増収は年間1500万~2000万ドル(約24億~31億円)程度に上ると見込まれている。
過密状態に苦慮するルーブル美術館
年間約900万人がルーブル美術館の門をくぐり、モナ・リザやミロのビーナス、あるいはナポレオン時代にさかのぼる巨大で印象的なダイヤモンドを目にするのを心待ちにしている。
新型コロナウイルスが猛威を振るっていた頃、ルーブル美術館はオンライン美術館を開設し、実際に足を運ばなくても、モナ・リザを含む世界的に有名な絵画を鑑賞できるようにした。オンライン美術館には71日間で1000万人が訪れ、大成功を収めた。だが、今もなお人々の実際の訪問は止むことがない。
世界でも最も有名な建造物の1つであるルーブル美術館の中庭にあるピラミッドを含む建物群は、モナ・リザ、ミロのビーナス、サモトラケのニケという「三大名作」を一目見ようと押し寄せる絶え間ない観光客の群れに対応するのに苦慮している。来館者の8割は主にモナ・リザを目当てに来るため、同作品の周りには廊下まで行列が続き、混雑の原因となっている。気候変動による猛暑も、同美術館の廊下を移動しようとする人々の混雑に拍車をかけている。



