ルーブル美術館の歴史ある建物は、ごく一部の芸術作品だけを見学する大勢の来館者に対応するようには設計されていなかった。この事実は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究によって裏付けられた。同大学の研究者らは携帯電話のブルートゥース技術を用いて、同美術館内の著名な芸術作品に対する訪問者の動きや混雑状況などを調査した。
同美術館の改修計画では、モナ・リザを専用ギャラリーに展示し、セーヌ川に近い美術館東側に専用の入口を設置する予定だ。このギャラリーには別途入場券が必要となる。入場券の価格は未定だが、専用ギャラリーは2031年までに完成することが見込まれている。
パリとフランスを象徴するルーブル美術館
ルーブル美術館は常にパリの代名詞であり、ひいてはフランスの代名詞として君臨してきた。その起源は12世紀にまでさかのぼり、博物館の下層階では中世の基礎構造の一部が今も残っている。歴代の君主はこの要塞を宮殿へと変貌させ、16世紀半ばには王権の座へと発展させたが、その座は後にパリ郊外のベルサイユへと移された。
先のパリ五輪期間中、ルーブル美術館は振付師メフディ・ケルクーシュの監修の下、一般公開ギャラリーでスポーツイベントを開催。終了後には世界的に有名な芸術作品の数々とともにワークアウトセッションが開かれた。
このように、ルーブル美術館が政治的議論の中心的な位置を占めるのは当然であり、特に昨年10月に起きた強盗事件の後ではなおさらだ。昨年は「危機に瀕するルーブル」が取り沙汰され、野党政治家は政府の能力を批判し、同美術館の幹部と文化相は過去数十年にわたる投資不足に苦言を呈した。こうして同美術館はフランスの文化施設に対する国家の財政支援と支配の象徴として、代理戦争の場となった。
ルーブル美術館の敷地面積は約7万3000平方メートルで、3万5000点の美術品を展示し、最も古い作品は9000年以上前にさかのぼる。各作品の鑑賞に30秒ずつ費やすと100日かかる計算になるが、来館者の多くは2~4時間で同美術館を後にする。ルーブル美術館を最速で通過した世界記録は9分14秒で、2010年にスイスの芸術家ビート・リッパートが自身の作品「ラスペッツァトゥーラ」のために樹立した。多くの来館者はもう少し長く滞在したいと思うかもしれないが、改修と新たな料金体系により、ルーブル美術館が来館者と職員双方にとってより良い場所になることが期待されている。


