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2026.01.07 11:00

次は宇宙だ、「軌道上AIデータセンター」にテック界の億万長者たちが巨額を賭ける理由

ロビンフッド共同創業者 兼 共同CEOのバイジュ・バット(Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

ロビンフッド共同創業者 兼 共同CEOのバイジュ・バット(Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

株式取引アプリ「ロビンフッド」の共同創業者でビリオネアのバイジュ・バットは、宇宙空間に設置したソーラーパネルで太陽光を集め、その電力を地球へ送電して利用する構想を掲げ、2024年に新会社「エイサーフラックス(Aetherflux)」を設立した。

現在、彼はその構想をさらに発展させ、宇宙空間にデータセンターを建設するという、一見すると荒唐無稽にも思えるアイデアの実現に取り組んでいる。彼の発想は、太陽エネルギーを取り込み、軌道上に配置した電力消費の大きいサーバーラックを稼働させるというものだ。「2025年に入り、人類のエネルギー需要がこれまでにない形で転換点を迎えているという、特異な時代に私たちは生きていることに気づいた」とバットは語る。

エイサーフラックスは2024年12月、2027年初頭までにAIチップを搭載した初の衛星を打ち上げるプロジェクト「ギャラクティック・ブレイン(Galactic Brain)」を発表した。しかし、同様のアイデアを描くテック業界のビリオネアは彼だけではない。元グーグルCEO(最高経営責任者)のエリック・シュミットは、3月に航空宇宙メーカー「レラティビティ・スペース(Relativity Space)」の支配権を取得してCEOに就任。翌月には、同社買収の狙いが軌道上データセンターの構築にあったことを、Xへの投稿で明らかにしている。さらに11月には、グーグルCEOのサンダー・ピチャイが「プロジェクト・サンキャッチャー(Project Suncatcher)」を発表し、2027年初頭までに自社製AIチップTPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)を搭載した2機のプロトタイプ衛星を打ち上げ、AIモデル「ジェミニ(Gemini)」に電力を供給する計画を掲げた。加えて、ウォール・ストリート・ジャーナルは12月、イーロン・マスク率いるスペースXとジェフ・ベゾスのブルーオリジンも、宇宙空間でのデータセンター建設に向けた動きを加速させていると報じている。

バットによれば、エーテルフラックスが打ち上げる各衛星には、相互接続された約10基のGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)に加え、約8台分の駐車スペースに相当する約93平方メートルの太陽電池パネル、さらにチップを冷却するための約46平方メートルのラジエーターが搭載される計画だ。彼は、2030年までに数千機規模の衛星コンステレーションを構築し、地上データセンターと競合し得る処理能力の確立を目指している。同社はこれまでに累計9000万ドル(約141億円)を調達しており、非上場企業のデータを提供する調査会社ピッチブックは、同社の評価額を2億7000万ドル(約424億円)と推計している。

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編集=朝香実

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