欧州

2026.01.02 09:00

ウクライナ交渉団に加わったブダノウ情報総局長、先行きを「楽観」 独占インタビュー

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノウ総局長(Laurent Van der Stockt for Le Monde/Getty Images)

彼はまた、交渉のテーブルにつく者のなかで、おそらく最も情報に通じている人物でもある。ロシア、米国、欧州それぞれの立場を詳細に理解し、内部で誰が誰に何を言ったのか、各国で世論からどのような圧力がかかっているのか、さらには経済的な圧力や個人的な事情まで把握している。そして、誰が誰の弱みを握っていて、それを交渉材料に使えるのか、また、そのようなシナリオでウクライナ側は何を切り札にできるのかもわかっている。もちろん、こうした詳細な情報についても、彼はコメントするつもりはない。

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たとえば興味深いのは、ゼレンスキーが和平合意の監視、とくに安全の保証とその履行に関して、ウクライナは米議会の直接関与を求めていると明言していることである。ウクライナ側は明らかに、誰が最も頼りにできる支援者なのか(それは主に米議会の上下両院の議員たちだ)わかっており、合意が署名されたあと、それが現地でなし崩し的に変更されるのを防ごうとしている。そうした形骸化が必至の合意を、ブダノウや多くのウクライナ国民は、1994年に米英ロと結んだ「ブダペスト覚書」を踏まえ「第二のブダペスト覚書」と呼んでいる。要は、プーチンが攻撃してきた際に、ウクライナの味方であるはずの国々から無視されるような安全保証のことだ。

情報通のブダノウは和平交渉に関しても、真の障害は何なのか、当事者たちが本当は何を求めているのか熟知している(ホワイトハウスは最近、米資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者を新たに交渉の場に加えた。交渉がビジネス的な傾向を強めていることをうかがわせる動きだ)。みずから交渉に参加するようになったブダノウは、ホワイトハウスのチームが発する微妙なサインや露骨な要求を読み取り、米国側の真意を見極めるのに最適な立場にある。

ブダノウは米国の交渉団について意外にも前向きな評価を示し、「実際、彼らはこのプロセスに新たな推進力とエネルギーをもたらしました。わたしは将来を楽観していると言えます」と語った。軍将校ながら政治の場にも身を置く人物として、ブダノウはこれ以上踏み込んだ、あるいは物議を醸すような発言はできないのかもしれない。しかし、コメントを最小限に抑える理由はそれだけではないはずだ。現在の交渉は、あまりに多層的で、同時に動いている要素が多く、すべてを説明しようとすれば本が一冊書けるほどなのだ。これは「多国間の複雑な」交渉であり、「たんなる二国間のものではありません」とブダノウは話した。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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