欧州

2026.01.02 09:00

ウクライナ交渉団に加わったブダノウ情報総局長、先行きを「楽観」 独占インタビュー

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノウ総局長(Laurent Van der Stockt for Le Monde/Getty Images)

ブダノウは世界の戦略地政学的な構図について言及し、ロシアは北と東、南では米国や中国に阻まれるだろうが、西の欧州はロシア側の認識では弱く、ばらばらだと見なされていると説明した。一方、ウクライナによるこれまでの最大の過ちとしてメディアキャンペーンを挙げ、それが徹底的に失敗したために動員がうまくいかなくなったと指摘した。

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ブダノウが英語でインタビューに答えることはほとんどなく、交渉団に加わってからは一切ない。今回、事実確認に限るという条件で、通訳同席で短時間のビデオ取材に応じた。

キーウ生まれで現在40歳手前のブダノウは、ウクライナの軍事教育機関で学んだ。2014年からのドンバス戦争で数回負傷し、暗殺未遂を何度も生き延びてきた。妻は重金属による深刻な中毒から生還している。ブダノウは米中央情報局(CIA)の訓練を受けた数少ないウクライナ情報将校のひとりであり、本格的な戦闘の経験者としても高く評価されている。数々の大胆な特殊作戦に自ら参加し、2024年2月にはウクライナ最高位の勲章「ウクライナの英雄」をゼレンスキーから授与された。要するに、政治ポストを含め、高位の役職の候補としては、これ以上ないほど非の打ちどころのない経歴を備えている人物であり、国民の評価もとても高い。ロシアとの捕虜交換の責任者も務めてきたのもブダノウだ。

情報機関トップという立場上、秘密を守り、発言に細心の注意を払う必要があるため、率直に話ができるような相手ではないのは確かだ。とはいえ、ブダノウはここへきてだんだんと公の場に姿を見せる機会を増やしており、慎重さと開示の間を巧みに行き来きしつつ、機知に富んだ対話者として振る舞っている。それでもやはり、多弁というよりは寡黙なほうだ。

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情報機関の長として、ブダノウがウクライナの非対称作戦を指揮している、あるいは少なくとも綿密に監督していることは間違いない。わたしたちはそうした作戦の驚異的な成果をすでに知っている。ニュースの見出しになるような、石油関連施設や軍用飛行場に対する攻撃、モスクワ上空へのドローン侵入、ロシア経済への打撃などだ。同時に、それらを通じてロシア指導部の心理や、彼らに対する国民の支持も揺さぶってきた。(北東部ハルキウ州クプヤンシクをめぐる最近の宣伝戦の鮮やかな反撃にも、ブダノウが関与していたのは間違いない。ロシア側は2025年11月下旬、軍服姿のウラジーミル・プーチン大統領が、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長からクプヤンシクの完全占領の報告を受ける映像を流していたが、ウクライナ側は同12月、ゼレンスキーが市の標識の前に立つ映像を公開した。)当然、ブダノウはこうした事柄について逐一コメントしない。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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