心理システムとしての哲学
長年にわたり、心理学は哲学者が以前から観察してきた事実を繰り返し再発見してきた。つまり、人は性格だけでなく現実を解釈する枠組みにおいても異なるということだ。
現代心理学は特性(外向性、勤勉性、神経症傾向など)に注目することが多いが、同じ状況でも人々の推論がなぜこれほど異なるのかを特性だけでは完全に説明できない。
同じように勤勉である2人の人間が、ルールを破るべきかどうかについて大きく意見が分かれることがある。同じように共感的な2人の人間が、正義が必要とするものについて真逆の結論に達することがある。こうした違いは往々にして根底にある哲学的な仮定に起因する。
道徳的推論と認知スタイル
哲学と心理学が交わる領域の1つが道徳的推論だ。
トロッコ問題のような古くからある倫理的ジレンマは、心理学者たちが認知処理の違いとして認識する分断を浮き彫りにする。
・規則に基づく推論は原則や義務、制約に依存する
・結果に基づく推論は帰結と総体的な福祉に焦点を当てる
神経科学の研究では、これらのアプローチは異なる神経ネットワークを動員することが示されている。規則に基づく推論は認知制御や抽象的推論に関連する領域を、一方で結果に基づく推論は評価や感情統合システムをより強く関与させる傾向がある。
繰り返しになるが、これは一方のスタイルが他方より合理的、あるいは「優れている」ということではない。むしろ、道徳面での意見の相違は認知的重点の違いを反映していることが多く、無知や悪意ではないことを示唆している。


