対人地雷政策を撤回した米国
米国のドナルド・トランプ政権は今月、朝鮮半島を除く地域での対人地雷の使用を禁止していたジョー・バイデン前政権時代の政策を撤回した。だが、米紙ワシントン・ポストは、バイデン大統領が退任の直前、ウクライナへの対人地雷の移送を承認していたと報じた。この決定は、ウクライナ侵攻でロシア軍が対人地雷を使用していることに対抗するために下された。その結果、ウクライナは世界で最も多くの地雷が埋設された国の1つとなった。
ピート・ヘグセス米国防長官は、トランプ政権の政策転換により、米国の戦闘員は「戦力の倍増効果」を得られるだろうと述べた。同長官はさらに、米国の地雷備蓄の廃棄に制限を設けるよう命じた。従来の政策では、北朝鮮との非武装地帯沿いで韓国の防衛に必要でない対人地雷の除去を求めていた。
対人地雷の歴史
地雷の起源は、16世紀のイタリアで用いられていた「フガス」にさかのぼる。フガスは地中に埋設された大砲を起爆させ、岩石やその他の破片を戦場に降り注がせるものだった。だが、フガスの信頼性は低く、敵にも味方にも同様に危険を及ぼす可能性があった。
最初の真の圧力作動式地雷は、それから約2世紀後に登場した。18世紀のドイツの歴史書には「粘土にガラス片と金属片を埋め込んだ陶器の容器から成る兵器」と記述された。
米国の南北戦争で初めて、こうした兵器が戦場で日常的に使用されるようになった。同戦争で活躍した米ノースカロライナ州出身の軍人ガブリエル・レインズは、現代の地雷を完成させたという不名誉な称号を持つ。米陸軍士官学校を卒業したレインズは、化学と砲兵学に秀でていた。レインズは、鉄板で作られ、導火線が蜜蝋で覆われた真ちゅう製のふたで保護された「レインズ特許」地雷を開発した。この地雷は摩擦式起爆剤と直接接触することで爆発した。間もなく他国も同兵器の潜在能力に気づき、地雷は世界中の軍隊に急速に普及していった。
地雷は2度の世界大戦でも用いられたが、報道で広く取り上げられるようになったのは、冷戦期以降の地域紛争で使用されてからだ。地域紛争の残留地雷により、1990年代には年間2万6000人以上が犠牲になったとの推計もある。今日でも世界中で、実際の戦闘が終わってから長い時間が経った後も、無数の不発地雷が犠牲者を出し続けている。


