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2026.01.02 17:00

現代にも通じる「ストア哲学」、コントロールできることに注力して前進を

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「コントロールの二分法」と統制の所在

おそらく最もよく知られたストア哲学の原則は「コントロールの二分法」だ。これは、自分がコントロールできることもあれば、コントロールできないこともあるという考え方だ。ストイシズムの考え方では、心理的苦痛はコントロールできないもの(例えば他人の意見や偶然の出来事、過去など)をコントロールしようと時間と感情的エネルギーを費やすときに生じる。

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現代心理学では「ローカス・オブ・コントロール(統制の所在)」という同じような言葉を用いる。数十年にわたる研究では、より内発的な統制の所在を持つ人(自分の行動が結果に意味のある影響を与えると信じる人)はストレスにうまく対処でき、不安やうつのレベルが低い傾向にあることが示されている。

これはすべてをコントロールできると信じることではない。健全に機能するかどうかは、自分の制御下にないことを正確に識別し、非生産的な精神的努力をしないことにかかっている。ストイシズムと心理学はここで一致する。どちらも感情的安定の礎として選択的注意を重視している。

感情の抑制を伴わない感情調節

もう1つのよくある誤解は、ストイシズムが感情の麻痺を促すというものだ。実際には、ストア派の哲学者たちは感情が自動的に生じることを認めていた。彼らが訓練したのは感情の不在ではなく、感情の統治だった。

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現代心理学も同様の区別をする。感情調節とは感じないことではない。感情に圧倒されたり支配されたりしないことを意味する。

今日研究されている最も効果的な感情調節戦略の1つが認知的再評価だ。感情に及ぼす影響を変える形で状況を再解釈する能力のことだ。再評価を行う人はストレスの程度が低く、逆境からの立ち直りも早い傾向がある。

ストイシズムとプレッシャー下での行動

ストイシズムは受動性と誤解されることがあるが、心理学的観点では行動志向型の哲学だ。ストア派の思想は、変えられないものを受け入れることと、主体性がある領域でためらわず行動することを区別した。

心理学もまた、反芻と問題焦点型コーピングを同様に区別している。

反芻とは解決するのではなく苦痛を繰り返し思い返す行為だ。これはうつや不安と強く関係している。

一方、問題焦点型コーピングは、たとえ小さなものであっても状況を前進させる具体的な手段を特定する。行動志向型コーピングをデフォルトとする人はストレス下でもより有能感を持ち、圧倒されにくい傾向にあることが研究で示されている。

ストア派思想の実践はこの習慣を、「今、私に何が必要か」という単純な問いによって鍛える。この問いは注意を感情の渦から逸らし、目的のある目標指向的行動へと向かわせる。

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翻訳=溝口慈子

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