ヘビの知能の個体差
基礎的な学習能力や記憶能力に加えて、ヘビの性格に関する研究も勢いを増している。長きにわたり、ヘビの行動は判で押したように画一的とされてきたことを考えれば、驚きの展開だ。
例えば、2024年に学術誌『Animal Cognition』に掲載された論文は、ガーターヘビが課題を「社会的に解決」するにあたって、パートナーの性格がどれだけ大胆であるかに応じて、自身の行動を調整したと論じている。
この研究から、ヘビが社会的な柔軟性や、「大胆さ」、探索傾向における個体差を持つことが明らかになった。つまり、ヘビの性格は固定的なものではなく、彼らは社会的文脈に適切に反応できるのだ。
これは、極めて高度な行動可塑性だ。このような能力はこれまで、爬虫類にはとうてい不可能だと考えられてきた。仮にヘビが完全に本能に基づいて行動しているなら、どんな社会的状況においても固定的な行動を示すか、まったく反応しないかだろう。だが、実際に観察された行動パターンからは、ヘビが社会的情報を処理し、意思決定の指針とする、特別な認知メカニズムを備えていることが示唆される。これは、脊椎動物において複雑な思考能力の証とされる、数々の特徴の1つだ。
ヘビの知能を構成する要素
推論能力や複雑な感情といった、哺乳類的な特徴を持たないとしたら、ヘビの知能とはいったいどんなものなのだろう? 近年集まりつつある証拠に基づき、両生爬虫類学者たちは、ヘビの知能は以下のような要素からなると考えている:
・適応的学習:ヘビは、刺激を結果と関連づけ、経験に基づいて行動を調整し、課題を繰り返す中でパフォーマンスを改善できる
・空間記憶:ヘビは、生存に関連する目的地(採食場所、隠れ家、冬眠用の巣穴など)を記憶し、そこに首尾よく到達できる
・行動可塑性:ヘビは、文脈に応じて、自身の大胆さ、社会的相互作用、防御行動などを調整できる
・個体差:ほかの脊椎動物と同様に、ヘビも個体間で異なり、個体内では一貫した行動傾向を示す
このような形の知能は、ヒトが深く依存する「感情」という側面を備えてはいないかもしれない。それでもこうした知能が、ヘビが生息環境の中で直面する特有の課題を解決する上で、極めて有用であることに変わりはない。
進化が磨き上げたヘビの知能は、ヒトに見られるような共感や感情を高度化する形ではなく、食料を発見し、危険を回避するのに役立つ形で最適化されているのだ。


