サイエンス

2026.01.03 18:00

ヘビの知能、最新研究が示す記憶力、社会的認知、個性など

コーンスネーク(Shutterstock.com)

ヘビは何を記憶するのか

ヘビが、連合記憶(associative memory:別名「連想記憶」。関連する概念や情報を結びつけて覚える脳の記憶能力)と空間記憶(spatial memory)を利用して、生存確率を有意に高める様子も観察されている。2025年に学術誌『Frontiers in Ethology』に掲載された論文では、コーンスネークなどのヘビが、報酬や安全と結びついた場所を記憶し、一貫してこうした場所に向かうことが報告されている。

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わかりやすく言えば、これはヘビが、過去に食料を見つけた場所や、危険に遭遇した場所、隠れ家にした場所を記憶できるということだ。こうした形の空間記憶は、実用的かつ適応的だ。自然界では、ヘビはこのような能力に基づいて、食料が豊富な場所、安全な隠れ家、特定の季節に使う巣穴への移動ルートを、繰り返し利用していると考えられる。

例えば、「ピットバイパー」と総称されるマムシ亜科のヘビは、普段の行動圏から数km移動して、前年に使った冬眠用の巣穴に戻ることが知られている。爬虫類の脳構造には、哺乳類が備えるような海馬が存在しないにもかかわらず、このように優れた空間記憶能力があるのは驚きだ。

こうした能力の本質は、哺乳類に広く見られるような「感情と結びついた記憶」ではなく、連合記憶および文脈記憶(contextual memory)のシステムだ。ヘビは、こうしたメカニズムを利用して、特定の場所や刺激を結果と結びつけ、こうした情報を将来の行動や生存シナリオの指針として利用する。

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ヘビが示す独特の問題解決能力

ヘビには知能があるという主張に対する、よくある批判の1つは、ヘビは哺乳類のように「パズル」を解くことができないというものだ。しかし、今やこうした批判も覆された。

両生爬虫類学者たちは、従来の実験課題において、ヘビが不自然な状況を強いられていたことに気がついた。研究者たちが、課題や実験手法を、ヘビの独特の生態に即したものに改良したところ、実に興味深い能力が、いくつも示されたのだ。

例えば、待ち伏せ型捕食の場面で、ヘビが自身の体を使って周辺環境を操作するところが観察された。具体的には、複数の個体が「生きたバリケード」をつくり、獲物がすり抜けられないようにしていた。これは野外観察に基づく研究であり、実験室でパズルを解かせたわけではないが、その結果は、ヘビが時に目的志向の行動をとることを裏づけている。

要するに、ヘビは「本能だけ」で生きているわけではなく、知覚、意思決定、状況判断といった能力を備えていることが裏づけられたのだ。

このような観察証拠は、ヘビは刺激に対する単純かつ機械的な反応だけで生きているわけではないという主張を支持している。ヘビには明らかに、記憶、知覚、さらにはチームワークさえも合理的に利用して、現実世界の課題を解決する能力があるのだ。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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