エネルギーを戦略的資産として活用する
エネルギーが活用されるか、浪費されるかは、リーダーにかかっている。リーダーが常に切迫感を持って行動すれば、その切迫感は下に伝わる。回復の時間を無視すれば、チームも同じことをする。こうしたシグナルはすぐさま文化になる。
エネルギーをリソースとして扱うリーダーは、それを意図的に管理し、ディープワークに集中する時間を確保する。激務の後は、当然のように休憩する。疲労を献身と混同する誘惑に抗う。こうした行動こそが、現場で戦略がどう実践されるかを形づくるのだ。
ここで重要となるのがコミュニケーションだ。リーダーは、戦略の内容だけでなく、実行される時の感覚も説明すべきだ。集中期と回復期について事前に明示すれば信頼が生まれ、組織が、成果だけでなく持続性を重視している証となる。
個人的な側面もある。燃え尽きてしまうようなリーダーは、他の人に対しても、持続可能な戦略を設計できない。エネルギーを中心に据えたリーダーシップは、自己認識から始まる。頭が働くときと、消耗しているときを知ることで、判断力が高まる。それはまた、目に見える手本を示すことにもなる。
人間のエネルギーを軸にした戦略は、軟弱とは感じられず、賢いと感じられる。そうした戦略は、やる気が「無限のリソース」ではないことを理解している。そして、長期的な成果は、努力が必要なだけでなく、「再生」も必要であることを理解している。
変動の激しい環境で、より長く生き残る企業とは、最も激しく突き進む企業ではない。ペースをうまく保つ企業だ。人間のエネルギーを軸に戦略を設計することで、持続力が優位性へと変わる。そして減速を知らないこの世界では、持続力こそが、戦略上の大きな強みになるかもしれない。


