ヘルスケア

2025.12.30 08:00

全米でインフルエンザ感染が急増 ウイルスの約9割が新変異株「K亜系統」

Corona Borealis Studio/Shutterstock

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米ニューヨーク州保健局は、州全域でインフルエンザ感染者数が急増していると警告した。同州では先週時点で7万1000件以上の症例が報告され、1週間で記録された症例数としては過去最多となった。この傾向は全米規模で広がっており、ほぼすべての州でインフルエンザ患者数がここ1カ月間で急増している。

保健当局は、これらの症例の多くが「K亜系統」と呼ばれる新たな変異株による可能性を懸念している。K亜系統は既存の免疫反応を回避できる、やや毒性の強い株だとみられている。米疾病対策センター(CDC)の統計によると、収集されたインフルエンザウイルスの89%がK亜系統に属していた。

同機関は過去1週間でインフルエンザ感染者が8.1%増加し、約6900人が入院したと報告した。幸いなことに、研究では、季節性インフルエンザワクチンが依然として重篤な合併症や入院に対して一定の予防効果を発揮していることが示されている。

CDCは、ウイルスに感染した人が感染力を持つようになる過程について次のように説明している。「インフルエンザウイルスは通常、症状が現れる1日前から発症後5~7日間にわたり検出可能だ。インフルエンザの感染力は、発症後3日間が最も強い。一部の人々、特に幼い子どもや免疫力が低下している人の感染力が続く期間は長くなる傾向がある」

米クリーブランド・クリニックは、インフルエンザの合併症のリスクが高い特定の集団が存在することを強調している。これには、喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)またはその他の慢性肺疾患のある人、脳卒中を含む腎臓・肝臓・神経系・心臓・血管疾患の既往歴がある人、咳・嚥下・気道からの分泌物除去が困難な人、糖尿病・免疫機能低下・血液疾患のある人、体格指数(BMI)が30を超える人、5歳未満または65歳以上の人、妊娠中または長期療養施設に入所している人などが含まれる。

CDCが注意喚起しているように、季節性インフルエンザに対する予防効果を得て合併症のリスクを減らす最善の方法は、インフルエンザワクチンを接種することだ。同機関の2025~26年季節性ワクチンに関する通達では、患者がワクチンに関する詳細情報を入手できるよう、膨大な情報を提供している。これには、ワクチンの入手方法や支払い方法、接種資格や年齢要件、ワクチンの成分に関する詳細が含まれる。

最も重要なのは、CDCがウイルスの感染を防ぐための実践的な手順を説明している点だ。

● インフルエンザは主に飛沫感染(場合によっては接触感染)によって拡散される。したがって、インフルエンザやその他の呼吸器疾患の症状を示している人との密接な接触は避けた方が良い。
● 同様の理由で、咳やくしゃみをする時は、周囲の人を守るために口と鼻を覆う必要がある。
● 家庭や公共の場でのウイルスの拡散を抑えるには衛生管理が極めて重要だ。可能であれば定期的に石鹸と水で手を洗い、それができない場合は消毒剤を使用する必要がある。
● 定期的に医療機関を受診し、かかりつけ医による定期健診を受けよう。急性の苦痛や重篤な症状、健康状態の悪化を示す兆候が現れた場合、医師または救急医療機関に連絡しよう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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