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2026.01.20 16:00

四国の若手IT人材が集結、地元企業に挑む!産官学“銀”で歩む地方イノベーター創出の道

日本各地の眠れる若手IT人材を発掘・育成し、新たなイノベーションエコシステムの形成を目指す、経済産業省の「AKATSUKIプロジェクト」。愛媛県では、伊予銀行や愛媛大学、今治造船など地元の産官学銀が連携した強固な座組のもとで地元特有の課題とIT人材を結びつける「LEADING EDGE四国」が進行中だ。地方発のIT人材発掘の意義、未来とは。参画メンバーが語り合った。


経産省 菊池龍佑(以下、菊池) 「AKATSUKIプロジェクト」(以下、「AKATSUKI」)は、2022年に政府が掲げたスタートアップ育成5か年計画を機に、経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「未踏事業」を拡大する一環として始まりました。開始3年目の本年度は、北海道から沖縄までの24の事業者が参画してくれています。

「未踏事業」は、日本版ビル・ゲイツを生み出すことを目指し、“天才が天才を育てる”というコンセプトで2000年から続く事業ですが、応募者が首都圏に集中しているという課題があったため、これを地方でも展開していこうとなったのです。

「AKATSUKI」では、地域の地元企業や大学などが補助事業者となり、伴走支援を行うプロジェクトマネージャー(PM)と共に、若手IT人材の発掘・育成をしています。いまでは、地域を超えた補助事業者同士のコラボレーションも生まれ、地方創生やDXといった新たな可能性も見出す成果も出ています。

なかでも、愛媛を中心に四国・瀬戸内地域で推進する「LEADING EDGE四国」は、地域に根を下ろす伊予銀行、愛媛大学、今治造船含む地元企業、そして未踏事業での経験を持つPM等が強固なスクラムを組み、大きな期待が寄せられています。

伊予銀行 越智厚木(以下、越智) 「LEADING EDGE四国」は、伊予銀行が代表幹事となり、愛媛大学、アンクアンドパートナーと共に立ち上げました。2024年度から「AKATSUKI」に参画し、四国・瀬戸内圏にゆかりのある15歳~25歳までの若者からアイデアを募り、新たな事業を創り出すことを目指しています。

そもそもの発端には、愛媛の若者の県外流出への課題意識があり、その要因は県内に就職先が少ない、地元企業について詳しく知る機会がない、専門技術を習得・実践する場の足りなさにあると捉えていました。そこで、地元の金融機関である当行と地域企業が共創する仕組みで「AKATSUKI」に参画すればそれらの要因を解消し、優秀な人材を地元に定着させる好循環を生み出せるのでは、と考えました。

伊予銀行の越智厚木
伊予銀行の越智厚木

今治造船 山内智博(以下、山内) 当社は以前より愛媛大学、伊予銀行と産学連携のつながりもあり、「LEADING EDGE四国」にプログラム課題や実証フィールドを提供する企業として参画しています。

若者の県外流出については切実で、県内の産業に目を向けてもらいたい。そのため、造船業に対する古いイメージを払拭し、AIやロボット技術を導入した革新的な事業について若者に知ってもらうにはLEADING EDGE四国は好機会で、若者ならではの新しい視点や切り口が得られることを期待しているのです。

今治造船の山内智博
今治造船の山内智博

企業からの「クエスト」が技術者としての成長に 

越智 本プロジェクトではまず、今治造船さんを含めた、地元企業5社から、解決したい事業課題を「クエスト」と題して募り、それに対して若手IT人材からアイデアを募集しました。PMの方々には学生たちのメンタリングを依頼しています。

尾藤さんは東京で未踏ジュニア事業のPMを長年務めるなど豊富なご経験をお持ちですが、四国でIT人材を発掘・育成することを、どう見ていますか。

オープンロジCTO 尾藤正人(以下、尾藤) 地方の場合、こうしたプロジェクト自体が少ないこともあり、自ら積極的に参加する人はまだ少ないと感じます。

「未踏事業」の修了生が中心となって運営する小中高生クリエータ支援プログラム「未踏ジュニア」には多くの応募がありますが、地方からは相対的に少ない。自ら情報を手に入れて勉強するタイプのエンジニアが成長していくので、そこで情報格差が生まれてしまう。

越智 そうですね。まさに募集活動は我々も試行錯誤を重ねています。そのなかで、困難な課題にクエストとして挑んでいってほしいとRPGのようなコンセプトで若者の興味を惹く工夫を施して、カジュアルなイメージ作りをしています。

加えて、2024年度はクエストに向けたアイデアを募るコースのみでしたが、2025年度は若者のオリジナルアイデアで応募できる人財育成コースも追加し、応募の間口を拡大したのです。結果、前年度に比べて7組増え、計20組の応募がありました。

尾藤 開発経験を持つ方はごくわずかですが、尖った個性を持ち、積極的に何かに関わりたいという意欲ある大学生、高専生が集まりましたよね。

オープンロジCTO 尾藤正人
オープンロジCTO 尾藤正人

菊池 どの地域でも学生集めに非常に苦労しているようですが、やはりそこが肝心だという話も聞きます。

ある地域では、「AKATSUKI」修了生に協力してもらい、同じ若者目線で学生さんたちに応募を呼びかけたり、面白い子を発掘したりしているそうです。この「LEADING EDGE 四国」においては地元企業からクエスト提示がある点、実証フィールドを提供している点が特徴として挙げられます。

2025年度に今治造船さんからいただいたクエストはとても面白いのですが、このクエストを設定した背景をお聞かせいただけますか。

山内 商船は、引き渡し前に海上公試を行います。実際の海域(伊予灘)で行うため、海洋環境を正確に把握する必要がありますが、航行中の巨大な試験船上で行う現行の計測方法には精度面で課題があるのです。

そこで海上の波の高さや潮の流れなどの海洋環境データを自動で収集・寄港する小型の無人観測船の開発をクエストとして設定させていただきました。

開発経験のない学生にとってはハードルが高く、つまずきもあったようですが、それを超えたときに初めて技術者としてのスキルが上がる。AIで答えを出しても、それは経験値にはならない——その本質を再確認しましたね。尾藤さんは彼らをどのような指導で支えたのですか。

尾藤 ゴールに向けたマイルストーン設定、エラーが起きたときの対処、正確性を徹底するといった初歩から丁寧に指導しました。開発経験がないと開発に要する期間の見積もりも困難なようで、当初、彼らが6か月と見立てたアイデアも、実際は6年くらいかかりそうでした(笑)

越智 技術の世界では一足飛びができないといいますか、マイルストーンの1から10までをひとつずつ着実にこなしていく必要があるのでしょうね。ただ、昨年度に比べ、今年度は早い段階で進捗が出た学生が多い印象があります。尾藤さんたちPMの手厚いサポートが奏功した成果では。

尾藤 今年度は全体的に順調に進んだと私も感じます。なかでも、私が学生たちへ口酸っぱく伝えたのは、正確さです。仕様書を正確に把握する、プログラムを正確に書くなど、開発では全工程において正確さが求められます。学生たちからすると実行するのがなかなか大変だったようですが。
越智 他の参画企業のクエストに挑む学生たちも、同様に試行錯誤がありました。開発経験のない学生たちがクエストにチャレンジすることはなかなかのハードルなのでしょう。

菊池 ある程度スキルがあり、自走する若者が集まる「未踏事業」とは違う点ですね。「AKATSUKI」は集まる若者の技術レベルがさまざまで、アイデアドリブンの方もいます。そのため、各地域の事業者は技術をインプットする座学的なプログラムを取り入れながら進めるなどの工夫を凝らしているようです。

経産省の菊池龍佑
経産省の菊池龍佑

山内 当社からは、学生たちに実際の現場をみてもらうことを提案しました。学生たちは実際の海上環境をわからないでしょうし、商船に乗る機会もなかなかありませんから。実際に海上試運転に乗船したことで、瀬戸内海といえども波が高い時間帯があり、それゆえ自律的に計測する技術開発の必要性を実感してもらえたと思います。

越智 企業の現場や実態を目の当たりにして開発を行い、実装を目指す——。若いうちからそれを経験できるのは技術者として非常に大きな価値があります。山内さんもお話されたように、ハードルを乗り越えたときには確実に成長していると思います。

地元の金融機関がイノベーションの要を担う

越智 私が所属する伊予銀行の地域創生部では2025年8月に”Future Design Lab (フューチャーデザインラボ)”という事業ブランドを立ち上げ、地域課題解決に向けて「種まき」の段階から主体的に関わり、地域の新しい姿の創出を通じた事業化を目指しています。

「LEADING EDGE 四国」もその一つとして地域の若者と産官学“銀”が共創し、新たな価値を生み出してまいりたいと思います。

菊池 地域経済を支えながらDX推進・デジタル人材の育成を進めるなかでは、地域の金融機関による支援の存在が大きいのです。イノベーションを提唱したアメリカの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターも、イノベーションにおいて銀行の存在を重要視しています。伊予銀行さんがまさにそれを体現してくださっていますね。

越智 あとは「LEADING EDGE四国」の1期生、2期生たちとアルムナイ的なコミュニティを築いて後進の育成や地域の若者たちを刺激し、応募を促していければいいな、と。

尾藤 地方に眠る人材をどう発掘するかがカギですね。「LEADING EDGE四国」で成功例が生まれれば、各地方でも人材発掘を行いやすくなるでしょう。

菊池 ぜひ実現させてください。「LEADING EDGE四国」には“先端”(最新)の意味があります。今後は先端だけでなく、何もないところから新しいものを生む“異端”も生まれていってほしいです。これからの展開にも大きく期待しています。

AKATSUKIプロジェクト
https://mitouteki.jp/r6/

LEADING EDGE 四国
https://www.leadingedge-shikoku.com/


2026年2月20日、AKATSUKIプロジェクトに集まったクリエータの最終成果を報告する最終報告会を都内で実施。興味のある読者は以下のURLから詳細をチェック。

https://mitouteki.jp/r6/special/conference/


きくち・りょうすけ◎2007年経済産業省入省。電気自動車など次世代自動車の普及事業、福島原子力発電所事故収束対応の企画調整等に従事し、2022年情報技術利用促進課(ITイノベーション課)課長補佐として未踏事業、AKATSUKIプロジェクトを担当。

おち・あつき◎2011年伊予銀行入行。2020年 経済産業省四国経済産業局出向。2023 年伊予銀行地域創生部(現職)。「LEADING EDGE 四国」代表幹事である伊予銀行の主担当。

びとう・まさと◎2015年UUUM CTO。2021年Repro CTO。オープンロジ 執行役員CTO 未踏ジュニアPM。2024年から「LEADING EDGE 四国」のPMを務める。

やまうち・ともひろ◎1997年今治造船入社。2023年今治造船 設計本部特殊船設計グループ 兼 経営企画本部DX推進室専任副部長。国立大学法人愛媛大学 客員教授。「LEADING EDGE 四国」を支える連携企業として、課題や実証フィールドの提供、メンタリングを担当。

Promoted by 経済産業省 | text by Rie Suzuki | photographs by Yuta Fukitsuka