ファッション業界で最も高額のギャラが動くヴィクトリアズ・シークレットは、数多くのスーパーモデルを輩出している。ブランド最長契約の専属モデル、アドリアナ・リマは、ショーの目玉である豪華なファンタジーブラを着用し、今年度の番付けで900万ドル(約10億8000万円)を稼いでいる。巣立っていったエンジェルの中には、年収4400万ドル(約53億円)で世界一稼ぐモデルとなったジゼル・ブンチェン、500万ドル(約6億円)の年収を得た期待の新人カーリー・クロスなどがいる。
毎年、数多くのモデルを起用するヴィクトリアズ・シークレットだが、中でも選りすぐりの看板モデルたちを「エンジェル」に任命し専属契約を結ぶ。現在エンジェルとして登録されているのは、ランキングにも登場したアレッサンドラ・アンブロージオやキャンディス・スワンポール、期待の新人リリー・アルドリッジやマーサ・ハントらだ。 一体、彼女らはどのように高額の契約を取り付けるのだろう。
「その答えにあなたは驚くでしょうが、すべては世の中の女性たちの反応次第です」とヴィクトリアズ・シークレットのマーケティング部長エド・ラゼック氏は答えた。ずば抜けてセクシーな魅力で定評があるエンジェルたちだが、ヴィクトリアズ・シークレットが探し求めるのは男性の欲望の対象というより、女性の憧れの的となるようなモデルなのだという。
「男性にとって彼女たちは最高のルックスを備えているかもしれません。しかし、男性を喜ばせるなんて簡単なことです。女性に支持されるには、エンジェルたちの様になりたい、彼女たちのような生命力や情熱、自信と力を自分のものにしたいと思われる存在でなければなりません」とラゼック氏は話す。
必要なのは“女性たちからの支持”
ヴィクトリアズ・シークレットは、流行の先端を行くエッジの利いたファッションモデルではなく、ハントやスワンポールのように明るく快活なモデルを求めている。「巷のファッションショーのランウェイを歩くモデルたちを見ると、何が問題なんだい、何をそんなに怒っているの?と感じずにはいられません。我々が求めるのは、ポジティブでハッピー、お互いに助け合う思いやりのある女性たちです」とラゼック氏は語る。
年に1度のビッグイベントとなったヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーは、最多観客動員数を誇り、世界が最も注目するファッションイベントとなった。ヴィクトリアズ・シークレットの幹部は年間を通じ世界中のキャットウォークから約100名のモデル候補者をスカウトし、オーディションを行う。