宇宙

2025.12.30 10:00

ロシア「ISSを2つに分離する計画」を発表、完全新造ステーションを断念してISS流用へ

(c)NASA(著者加工)

極軌道ステーションは断念

ただし、この選択によってロシアは、新ステーションを極軌道に投入することを断念することになる。ロシアが2021年に発表した独自ステーション「ROS」(前述した「新車」に当たる)は、極軌道に投入される予定だった。地球を南北に周回する極軌道に宇宙機を投入すれば、宇宙機が周回する間に地球が自転するため、地球全域を観測することが可能になる。

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ISSの場合、軌道傾斜角(赤道に対する軌道の傾き)が51.6度のため、北緯51.6度の地表上空までしか北上できず、北緯81度まで国土が広がるロシア全域はカバーできない。そのため極軌道にステーションを配置することはロシアにとっては悲願だった。しかし、ISSの区画を流用すれば51.6度が維持されることになる。

じつはロシアは過去にも同様なプランを推し進めていた。2009年に発表された計画「OPSEK」では、今回のROSと同様の工程で新ステーションを構築し、さらにプログレスのスラスタ燃焼によって軌道傾斜角を51.6度から、おそらく70度以上に変更させようとしていた。

しかし、そのマニューバには莫大なエネルギーが必要とされる。従来のプログレスでは推力が足りないだけでなく、船体の制御も難しく、新たな機体を開発する予算も限られていたため、同計画は放棄された。その結果、2021年に「新車」のROS計画へと移行したという経緯がある。

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補給機プログレスのスラスタ燃焼。通常はこの推力でISSの速度を上げ、軌道高度を上昇させる。2025年8月撮影。(c)NASA
補給機プログレスのスラスタ燃焼。通常はこの推力でISSの速度を上げ、軌道高度を上昇させる。2025年8月撮影。(c)NASA

2027年には、米民間企業アクシオム・スペースの新モジュールがISSのアメリカ区画に接続し、それを足掛かりに民間ステーションの建設が開始される。そして今回発表されたロシアの計画が実行されれば、同年からロシア区画でもISSの増築ミッションが開始されることになる。ISSの廃棄まであと5年。その間、ISSでは増築ラッシュが続くことになる。

編集=安井克至

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