「推し活」という言葉は、いまや一過性の流行を超え、現代の消費文化を象徴する重要なキーワードとして定着した。対象への深い愛着に基づく消費行動は、関連市場を潤す大きな原動力となっている。しかし、その華やかな熱狂の裏側で、多くのファンが直面しているのは「金銭的な制約」という現実の壁だ。
金融サービスを運営するGeNiEが実施した「推し活に関する実態調査」によれば、推し活層の年間平均支出額は約8万円だった。支出の内訳はグッズ購入が最も多く、ライブやイベントのチケット代、動画配信・サブスクリプション利用料、投げ銭など、その項目は多岐にわたる。ここで注目すべきは、理想と現実のギャップだ。実際に年間10万円以上を投じている層が全体の約17%にとどまるのに対し、理想の支出額として10万円以上を希望する層が22%もいることだ。


この金銭的な制約は、活動の満足度に影を落としている。調査によれば、およそ5人に1人にあたる18.7%が、現在の推し活に対して「物足りなさ」を感じていると回答。その理由として最も多く挙げられたのが「金銭的な余裕がない」(69.6%)ことであり、情熱はあるものの財布事情がそれに追いつかないファンの苦悩が浮き彫りとなった。

さらに実態として深刻なのは、金銭的な理由で活動を「諦めた経験」を持つ人の多さだ。全体の65.7%もの人が、資金不足を理由に推し活における何らかの機会を断念した経験を持っている。チケットの当選以前に、そもそも応募するための資金や遠征費、限定グッズの購入費用を確保できないことが、満足のいく活動を妨げる最大の障壁となっている。

握手会や写真会、お渡し会など、推しに接触できる機会があれば、いくらでもお金を積みたくなる。しかし、日々の生活とのバランスの中で、理想とする「推し活」を貫くことの難しさが、データによって明らかになった。
出典:GeNiE「推し活に関する実態調査」より



