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2025.12.28 08:00

米ドル「崩壊」の危機警告──2026年の金・銀急騰がビットコイン価格を押し上げるか

Shutterstock

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10月に過去最高値を付けた後、ビットコインおよび暗号資産の価格は急落した。一方で、金・銀と株式市場は急伸している(ただし、思いがけない警告シグナルが突如点滅し始めた)。

ビットコイン価格は1ビットコイン当たり約9万ドル(約1400万円。1ドル=156円換算)近辺で足踏みしており、史上最高値の12万6000ドル(約1966万円)から下落している。これに対し、金と銀はそれぞれ20%と64%上昇した。スコット・ベッセント米財務長官が、相場を一変させ得る施策を明らかにしたためだ。

そして今、イーロン・マスクがひそかにビットコインを支持しているとの憶測が静かに広がる中、金と銀は2026年を通じて大幅な上昇を遂げると予測されている——これがビットコイン価格の大幅な上昇への道を開く可能性がある。

「2025年の貴金属相場の上昇は、国際通貨システムにおける深く構造的な転換の始まりを示しています。米国中心の枠組みから、より多極的な秩序への移行です」と、GlobalDataの経済調査・企業担当ディレクターであるラムニヴァス・ムンダダはメールでコメントを述べ、金は2026年を通じてさらに8%から15%、銀は20%から35%上昇すると予測した。

「この動きは、典型的な安全資産への逃避以上のものを反映しているように見えます。地政学的不安定性の高まり、米国経済の減速、継続する貿易摩擦、そして加速する脱ドル化(米ドルへの依存を減らす動き)に対する、機関投資家や投資家による戦略的対応を表しています」

ムンダダは、2026年のFRB(連邦準備制度理事会)による追加利下げへの期待、地政学的混乱、そして各国中央銀行が準備資産を米ドルから分散させる脱ドル化を指摘した。「私たちは新たな多極的通貨時代への移行期にあります」とムンダダは述べている。

ドナルド・トランプ米大統領は現在、FRB議長ジェローム・パウエルの後任人事を検討中だ。トランプ政権のNEC(国家経済会議)委員長で、第1期政権でも務めた側近のケビン・ハセットが最有力候補であり、元FRB理事のケビン・ウォーシュがそれに続く。両者とも大幅な利下げを行うと広く予想されている。

トランプ大統領は「新しいFRB議長には、市場が好調な時に金利を引き下げてほしい。理由もなく市場を破壊するのではなく」とTruth Socialに投稿した。「私はここ何十年も見たことがないような市場を望んでいる。良いニュースで上昇し、悪いニュースで下落する市場だ。そうあるべきであり、かつてはそうだった」

一方、他の評論家たちも米ドルの衰退について警告を発しており、さらに踏み込んだ見解を示す者もいる。

「ドルの王座は終わりを迎えようとしている」と、資産運用会社Euro Pacificのチーフエコノミスト兼グローバルストラテジストで、金の強気派として知られるピーター・シフはXに投稿した。

「金が中央銀行の主要な準備資産として王座に就くことになります。つまり、米ドルは他の法定通貨に対して暴落し、アメリカが享受してきた世界経済における『ただ乗り』は終わりを告げるでしょう。歴史的な経済崩壊に備えましょう」

しかし、ビットコイン価格がここ数カ月で金や銀と共に上昇できていないことから、ビットコインは割安だと見る向きもある。

「米国株式市場が上昇を続け、金、銀、銅といった貴金属が直近で過去最高値を記録する中、従来型のリスク資産全般で過熱の兆候が現れている」と、東京に拠点を置くbitbankのビットコイン・暗号資産市場アナリスト、長谷川友哉はメールでのコメントで記している。

「このような状況を背景に、ビットコインは相対的に割安に見えます。このためバリュエーション(資産価値評価)に基づいた買いが出てくる可能性があります」

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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