プラナリアが重要な理由
科学者が最終的に、記憶の手がかりがプラナリアの非神経組織に保存される方法、あるいは、生体電気パターンが複雑な構造の形成をどのように規定するかを解明できれば、医学におけるさまざまな新戦略の指針となり得る。例えば、以下などが可能になるが、それだけにはとどまらない。
・損傷した脊髄の修復
・神経変性疾患の治療
・脳卒中や外傷後の組織再建
実際、研究者たちはすでにプラナリアを、発達神経毒性学および脳再生研究のモデルシステムとして活用し始めている。ヒトの身体は扁形動物よりもはるかに複雑だが、プラナリアの回復力から得た知見は、いつの日か、ヒトの組織修復への取り組みに革命を起こす可能性がある。
だからこそ、この生物は、生物学、神経科学、さらには哲学にまで及ぶ疑問の最前線に位置している。「記憶を作り出す脳が失われても残り得る記憶」とは何なのか? 行動は、神経細胞以外の組織にどの程度までコード化されているのか? そして、身体そのものが、経験のアーカイブとして機能し得るのだろうか?
これらの問いかけは我々に、脳の優位性、記憶の本質、そして生命の構成そのものについて、長年信じられてきた前提を再考するよう迫ってくる。我々は、自らを理解していると思い込んでいるが、非常に単純な生物が、これらの法則を完全に書き換えるかもしれないのだ。
恒常性の追求は、結果として「死」を含み得る。プラナリアは、そうした恒常性を受け入れず拒むことで生き延びている。


