脳内でないとしたら、プラナリアの記憶はどこにある?
再生された脳で記憶が生き延びる、という考えは、生物学者たちに次の疑問を抱かせた。脳が失われたなら、記憶はどこに保存されていたのだろうか?
ヒトや他の脊椎動物から得られる知見に基づけば、記憶は、主にシナプスネットワーク、すなわちニューロン間の結合パターンに保存されるものと考えられてきた。しかし、これがプラナリアに当てはまらないのは明らかだ。
2013年に『Journal of Experimental Biology』に掲載された研究結果をベースに、高スループットな(短時間で大量のデータを処理する)コンピューター化された訓練・テスト手法を用いて得られた知見によれば、記憶は少なくとも、プラナリアが頭部を再生するのに要する時間と同等以上の期間、保持され得る。
このとき、神経系は本質的に破壊されていたため、これは、記憶の痕跡が神経系に保持されていないことを意味する。代わりに記憶は、分散型または非神経的な形態でコード化され、形成過程にある新しい脳に刻み込まれているに違いない。
一部の研究者は、生体電気信号(組織内を伝播する電圧変化やイオンの移動によって形作られる電気的パターン)が、何らかの「パターン記憶」として機能する可能性について、模索し始めている。これが、構造的な再生を導くと同時に、おそらくはプラナリアの行動パターンにも影響を与える可能性がある、という仮説だ。
特にこの視点は、従来の遺伝的・分子モデルを超えて、生体電気が再生に関与することに関する最近の研究の進展と一致している。
プラナリアが脳を再生する仕組み
プラナリアの細胞のほぼ3分の1がネオブラストであるため、プラナリアは、動物界において他に類を見ない発生可塑性を示す。興味深いことに、オープンアクセスジャーナル『Heliyon』に2025年に掲載された研究は、プラナリアではこれらのネオブラストに加えて、生化学的な位置情報シグナルが、再生が無秩序なものではなく、元の体の構造を正確に復元するよう働いていることを明らかにしている。
平たく言えば、これらの扁形動物は、組織全体にパターン化されたシグナル分子の勾配を持ち、それによって各細胞が「頭」「尾」「側面」のいずれであるかを認識している。しかし、これらのシグナルが乱れると、頭が2つ生じるような奇妙な結果を招く。
ヒトにも同じ幹細胞が存在し、皮膚や血液、肝臓の一部を再生することができる。しかしヒトでは、複雑な神経構造は再生できない。これは、ヒトの場合、発達の初期段階において、こうした再生経路を抑制するためだ。これはおそらく、がんのリスクを低減させ、神経的なアイデンティティを安定的に保つためという可能性が高い。
プラナリアは、逆のトレードオフを受け入れたようだ。構造的な恒常性を犠牲にして、徹底的な可塑性を選択したのだ。彼らは適応性を選び、我々は安定性を選んだということだ。


