これは、「相手を知る」という大原則につながっています。相手の前提知識、趣味、職種、価値観……。そうした事前情報があるからこそ、相手の頭の中にすでにあるイメージを借りて、新しい概念を説明できるのです。
定番の「比喩」を持っておくと、困らない
では、どうすれば、相手の心に響く比喩を準備できるようになるのでしょうか。
説明がうまい人が、話す前に必ず頭においている2つのコツをご紹介します。
1 相手の「好きなものリスト」を作る
説明する相手が決まっている場合、まず「この人が興味のあるもの、詳しいものは何だろう?」という視点で、情報を集めてみましょう。
ビジネスシーンなら:相手の業界、職種、過去の経歴、服装(ネクタイ、靴など)
プライベートなら:好きな映画や音楽、スポーツ、ペット、出身地など
これらの「好きなものリスト」が、あなたの比喩の最高の材料になります。
例えば、相手が「料理好き」だと知っていれば、次のような説明ができます。
「進捗確認は非常に大事だ。料理が趣味と聞いたけど、思い通りの味になっているかを『味見』して確認することはない? 進捗確認も味見と同じで、思うような方向に進んでいるかを確認するために大事なんだ」
このように、相手が日常的に行っている行為にたとえることで、複雑なプロジェクト管理の話も、親しみやすいレシピのように聞こえるのです。
2 「定番の比喩」をストックしておく
説明する相手が不特定多数の場合や、事前情報が少ない場合でも使えるのが、多くの人が共通のイメージを持つ「定番の比喩」をストックしておくことです。
私が企業研修や著書で多用するのも、この定番の比喩です。
「登山」の比喩:目的達成までのプロセスを説明するときに使う
(例:「説明とは、聞き手と一緒に山を登るようなものです」)
「料理」の比喩:計画や準備の重要性を説明するときに使う
(例:「優れた説明は、良い料理と同じ。下ごしらえが9割です」)
「スポーツ」の比喩:チームワークや戦略を説明するときに使う
(例:「この交渉は、個人戦ではなく、チームで戦うサッカーのようなものです」)
これらの比喩は、多くの人が一度は経験したり、イメージしたりしたことがあるため、聞き手を選ばずに使いやすいのが特徴です。あなただけの「比喩の引き出し」を、少しずつ増やしていきましょう。
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