2025.12.26 09:00

世界の自動車市場で躍進する中国 経済力を超え地政学的影響力も拡大へ

中国江蘇省太倉港で、船積み待機中の電気自動車。2024年4月19日撮影(Zhang Congyu/VCG via Getty Images)

米国の選択肢

では、どうすれば良いのだろうか? 米国や同盟国の政府指導者は、複数の方法を検討する可能性がある。

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1. 退却 米国の自動車大手GMとフォードの2社は、EV製造の縮小を発表し、数十億ドル規模の減損処理を実施した。フォードはF150ライトニングEVピックアップトラックの製造を停止する。製造の縮小は短期的な緩和をもたらすかもしれないが、撤退は長期的な勝利戦略とはなりえない。

2. 保護主義 ドナルド・トランプ米大統領の下で実証されているように、輸入障壁は米企業を一時的に保護することができる。しかし保護主義は二流製品を生み出し、国際競争力を失うリスクがある。これは撤退戦略にほかならない。

3. 補助金 EVに対する米政府の支援は、消費者の購入奨励策から充電設備整備まで、国内産業を強化し得る。9月に補助金が打ち切られた際、米国のEV販売台数は急落し、補助金の重要性が浮き彫りになった。

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4. 防衛調達 初期の民間航空産業と同様に、防衛関連契約は革新を促進しコスト削減につながる可能性がある。特に自動車用バッテリーは、国家安全保障にとって戦略的な意味合いを持つ。

5. 大西洋横断協力 自動車、特にEVに関する米国と欧州連合(EU)の自由貿易協定は規模の優位性をもたらし、西側諸国の競争力を強化するだろう。

6. 共同製造 米企業は、国内ではソフトウエアや高度なシステムに注力しながら、車体製造などの労働集約型部品を中国に外注することができる。この手法は、競争力と雇用を維持できる可能性がある。

結論

どのような戦略を追求しようとも、向こう10年間は米国の自動車メーカーに持続的な下押し圧力が加わるだろう。市場シェアと収益性は低下する一方、中国企業は国際的な支配力を強めていくだろう。この課題は単なる経済的なものではなく地政学的なものであり、競争力、技術革新、国際協力のバランスを取る協調的な対応が求められる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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