宇宙

2025.12.28 17:00

宇宙で激しく輝く謎の「青い閃光」、発生源は超新星でなくブラックホールか

AT 2024wpp(中央)のX線UV可視近赤外合成画像 International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA, Image Processing: J. Miller (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF NOIRLab)

AT 2024wpp(中央)のX線UV可視近赤外合成画像 International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA, Image Processing: J. Miller (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF NOIRLab)

遠方の宇宙で短期間に輝きを放った後に消えていく、極めて明るい青色閃光の発生源を特定し、10年来の謎をついに解明したとする科学者チームの研究結果が発表された。

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「高光度高速青色可視光トランジェント(LFBOT)」として知られるこの閃光は、超新星爆発かもしくはブラックホールに落下する星間ガスが発するものとこれまで考えられていた。だが、LFBOTはそのどちらでもなく、近くにある大質量星を激しく破壊するブラックホールによって引き起こされることを、研究チームは突き止めた。

「激しい潮汐破壊」

米カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)率いる研究チームによる今回の画期的な成果は、2024年に発見された観測史上最も明るいLFBOT天体「AT 2024wpp」の調査に基づくものだ。太陽の最大100倍の質量を持つブラックホールが大質量星の伴星を数日間でずたずたに引き裂いて「激しい潮汐破壊」を引き起こすことでLFBOTが発生すると、研究チームは結論づけた。

太陽系から約11億光年離れているにもかかわらず、複数の望遠鏡で容易に検出されたAT 2024wppは、典型的な超新星の100倍ものエネルギーを放出していた。

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天文学誌The Astrophysical Journalに掲載されるAT 2024wppに関する今回の論文2本のうちの一方の筆頭執筆者で、UC Berkeleyの大学院生のナタリー・レバロンは「この種の突発天体から放出されるエネルギーの量そのものが非常に膨大なので、単一の大質量星の崩壊・爆発や他のどんな種類の恒星の爆発現象でも、そのエネルギー源にはなり得ない」と説明する。「AT 2024wppからの最も重要なメッセージは、研究で最初に用いたモデルが誤りであるということだ。恒星の爆発が成因では決してない」と、レバロンは続けている。LFBOTが最初に確認されたのは2014年のことだ。

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翻訳=河原稔

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