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2025.12.26 17:45

個人開発のアプリが「世界のノート」へ。Goodnotes経営チームが考えるAI戦略と日本の「書く文化」

2025年10月10日、都内で行われたデジタルノートアプリ「Goodnotes」の公開インタビューで語る、同社・創業者兼CEOのスティーブン・チャン(左から2人目) Kohichi Ogasahara for Goodnotes

――プライベートで使っていたのですか、それとも仕事で?

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シュウ・ティン:大学生の頃に使っていました。当時、世の中にあるノートアプリはほぼすべて試したんです。App Storeにあるアプリを片っ端からダウンロードして1週間使ってみたところ、毎週のようにアップデートされ、進化し続けていたのはGoodnotesだけでした。
その時、「一生使い続けるなら、毎週改善し、より良くなろうと努力し続けているアプリがいい」と思ったのが、Goodnotesを選んだ決め手でした。

――まずはスティーブンさんに創業について伺いたいと思います。2010年、オーストラリアで数学を専攻していた学生時代にさかのぼりましょう。当時はどのようなことに悩み、なぜノートアプリ「GoodNotes(製品名当時)」を作ろうと思ったのでしょうか?

スティーブン:当時の私の周りは、とにかくノートやプリントの山でした。数学の勉強をしていたのですが、よく計算間違いをしてしまうんです。アナログのペンと紙だと、間違えるたびにバツ印で消すか、私の場合は紙を破って最初からやり直さなければなりませんでした。毎学期が終わるたびに大量のノートを捨てなければならないのも心苦しかったです。

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でも、これらをすべてデジタルデバイスに保存できれば、修正も簡単です。私たちは、おそらくノートアプリで初めて「なげなわツール(Lasso Tool)」を導入しました。書いたものを自由に動かしたり消したりできる。これはペンと紙よりもはるかに優れています。今では私のバックパックには、何冊ものノートの代わりにiPadが1台入っているだけです。

――重要なポイントがいくつか見えました。まず持ち運びやすさ、「ポータビリティ」です。そして今の学生には不可欠な「共有」のしやすさ。さらに重要なのが廃棄物の問題です。リソースを節約できる、「エコ」なツールであるということですね。転換点となったのは2015年、AppleがApple Pencilを発表した時だと思います。アカデミアではなく、起業家の道へ進んだ背景について教えてください。

スティーブン:中学生・高校生の頃から、ずっと起業に興味がありました。香港で小さな商売をしていた父の影響もあったかもしれません。当時、インターネットが普及し始め、多くのスタートアップが誕生していました。その創造的な動きにとてもワクワクしていたんです。

学生時代から趣味でプログラミングをしていましたが、App Storeが登場するまでは、自分のアプリを世界に広める手段がありませんでした。App Storeという、誰もがアプリを世界中に公開できるプラットフォームができた瞬間、「自分も小さなビジネスをもてるかもしれない」と確信しました。

2015年にApple Pencilが出るまでは、スタイラスペンを使う層というニッチな市場だと思っていました。当時はデジタル端末でペンを使う意味を、まだ誰も本当には理解していなかったからです。しかし、Apple Pencilの発表を見て、この市場の巨大な可能性を悟りました。同時に、自分一人ではこれ以上進められないとも感じました。

そこからチームを編成し始めたんです。幸運なことにGoodnotesの人気が高まり、カテゴリーで1位になることができました。でも会社経営の経験がなかったので、もちろん多くの困難もありました。一人でアプリを作るのと、チームで働くのはまったく違います。効果的なコラボレーションの方法を学びながら進んできた10数年でした。

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文 = 井関庸介

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