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2025.12.26 17:45

個人開発のアプリが「世界のノート」へ。Goodnotes経営チームが考えるAI戦略と日本の「書く文化」

2025年10月10日、都内で行われたデジタルノートアプリ「Goodnotes」の公開インタビューで語る、同社・創業者兼CEOのスティーブン・チャン(左から2人目) Kohichi Ogasahara for Goodnotes

――スティーブンさんのような単独創業者は最近では珍しいですよね(編集部註:2011年〜2016年まで一人で開発から経営まで手がけた)。例えば、米アクセラレータのYコンビネータは共同創業者と組むよう推奨しています。CEOとして何を達成したいかについては、後ほど伺えれば。次に、GoodnotesでCOOを務めるミン・トラン博士、お願いします。

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ミン・トラン(以下、ミン):私は米ロサンゼルス出身で、Goodnotesに加わって約4年になります。この4年間で、私たちはとてつもない成長を遂げました。私が入社した時はチームは80名ほどで、日本には拠点もありませんでした。それが現在では、世界中に370名のスタッフがおり、日本にも10名近いチームメンバーがいます。

――ミンさんは教育分野のバックグラウンドをおもちですよね?

ミン:その通りです。私は心理学者として訓練を受け、その後、教育者になりました。キャリアのスタートはロサンゼルスで、小学5年生の算数と理科の教師をしていたんです。当時は大量の紙を使っていました。あの頃にGoodnotesがあれば、どれほどよかったことか! 
キャリアの大半をテクノロジーと教育の架け橋となる活動に捧げてきました。ブラジル、イタリア、ベトナムなど、世界各国の教育省と協力し、さまざまな文脈でどのように教育をスケール(拡大)させるかを見てきました。特に日本のように島々に人口が分散している国では、研修や評価を全国規模で実施するためにテクノロジーは不可欠です。世界中の政府がいかにデジタル化やデジタル研修に取り組んでいるかを見ていくのは、とても興味深いものでした。

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来日したノートアプリ「Goodnotes」のAI製品リードのシュウ・ティン・フォン(左)、創業者兼CEOのスティーブン・チャン(中央)、COOのミン・トラン(右)  Kohichi Ogasahara for Goodnotes
来日したノートアプリ「Goodnotes」のAI製品リードのシュウ・ティン・フォン(左)、創業者兼CEOのスティーブン・チャン(中央)、COOのミン・トラン(右) Kohichi Ogasahara for Goodnotes

――多くの国を回られているので、後ほど市場の比較や日本の特徴についてもお話しいただきましょう。それではGoodnotesのAI製品リードを務めるシュウ・ティン・フォンさん、よろしくお願いします。

シュウ・ティン・フォン(以下、シュウ・ティン):何よりもまず、私自身がGoodnotesの熱烈なユーザーなんですね。使い始めてからもうほぼ9年になります。製品が誕生した当初から使っていたことになりますね。自分がこれほど大切に思っている製品を、まさか自分で作る日が来るとは思ってもみませんでした。

私だけでなく、Goodnotesのプロダクトマネージャーの多くが同じように考えています。私たちは常にユーザーのために開発しており、自分たち自身で製品を使い倒し、価値があるものかどうかを常に検証しています。

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文 = 井関庸介

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