経営・戦略

2026.01.28 15:15

沖縄「JUNGLIA」開業3カ月の真実──想定外と想定内のギャップに対峙する

開業から3ヶ月を経過したジャングリアに直撃

「当初は膨大な改善ポイントに心が折れそうになった、折れてしまった現場スタッフもいたと思います。ただ、厳しい評価の中にある真の改善点を探し出し、前向きに取り組んでいきました」。

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実際スタッフのホスピタリティや食体験、物販への評価は一貫して高かった。

特に加藤が注目したのは、ナビゲーターに対する評価の高さだった。

ジャングリア沖縄では、ナビゲーターと呼ばれるスタッフがゲストと接する時間が、他のどのテーマパークより長い。ボタンを押して進む機械仕掛けのアトラクションとは異なり、たとえばジップラインのハーネスを装着する数分間は、ナビゲーターのフリートークタイムでもある。もちろん台本はない。人が介在する時間が長いことで、沖縄ならではの明るく親しみやすいホスピタリティが最大限生かされ、アトラクションの価値をも高めていると加藤は分析する。

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だからこそ、目の前のゲストが本当に喜んでいるかどうかが、もっとも重要な評価基準になるとナビゲーターに伝えていた。「ショーや花火で盛り上がって、水を浴びながら喜ぶゲストの姿を目の当たりにしたスタッフは、いたって前向きでした」。

地元とともに成長することが使命

ジャングリア沖縄が、他のテーマパークと大きく違う点がある。この規模の事業でありながら、地銀と地元を中心としたファンドで立ち上がっているという点だ。

プロジェクトの立ち上げは2018年。当初はメガバンクからの融資計画が進んでいたものの、コロナ禍、ウクライナ戦争の勃発により白紙に。資金調達は困難を極めた。

この時にアレンジャー(ファンドとして資金を集める主導的立場)として当時手を挙げたのが、商工中金だった。「観光のフロントランナーである沖縄から日本の観光課題と社会課題を変えていきたい。年間1000万人近い観光客が訪れる沖縄のさらなる可能性にチャレンジしたい」という加藤に賛同。全国の地銀との繋がりがあるからこそ、地域活性化や地方創生に貢献していくべきと判断したという。

さらにプロジェクトの立ち上げ当初、「地元が儲かる仕組み」を第一に考えた加藤は、各地の小さな公民館で住民を集めて何度も説明会を開いた。この姿勢が、琉球銀行の心を動かす。

こうして、商工中金と琉球銀行は共同アレンジャーとなり、加藤と共に全国の地方銀行を回った。その数は100社以上に及んだ。最終的に商工中金が80億円、琉球銀行が50億円、賛同した千葉銀行や山梨中央銀行など沖縄県外の地方銀行9行によるシンジケートローンで236億円の資金調達を達成した。

加藤は、いかに地元とともに歩んでいくかをその行動原理の一つとしている。
加藤は、いかに地元とともに歩んでいくかをその行動原理の一つとしている。

開業直後のトラブルが起こる況下でも、地元からの応援は途切れなかった。その理由は、開業前から数年にわたって積み重ねてきた地域との対話にあった。

「社数ベースでは、株主の7割が地元企業で、従業員も7割が地元・沖縄の人です。市町村、株主、金融機関の方々は、基本的にこの事業が目指す方向性に賛同して、応援してくれていました。一時的なネガティブなクチコミがあったあとも、"とにかく頑張って!"の声をいただいている」。

開業まで築き上げてきた地域との信頼関係と、県民性ともいえる「人をもてなしたい」という地元従業員の強い想いが、この逆境を乗り越える力となっていることは間違いないようだ。

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文=真下智子 写真=苅部太郎(人物) 編集=坂元こうじ

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