リーダーシップ

2025.12.27 14:15

『デジタル帰宅部』が掘るふるさとの魅力 ── 若者たちは「1ブロックずつ」希望を積みあげた

第3回デジタル帰宅部最終プレゼン(於:福井県坂井市市庁舎)

第3回デジタル帰宅部最終プレゼン(於:福井県坂井市市庁舎)

福井県坂井市。三国湊や東尋坊という多くの人がその名を知る観光地を持ちながら、人口減少、とりわけ若者の流出については、他の地方都市と同じ課題を持っている。予算とアイデアは限られる中、このままでは魅力ある観光地は宝の持ち腐れになる現状がある

「卒業したら出ていく場所」だったこの街で、地域活性のサバイバルを終わらせようとする高校生たちがいる。その名は「デジタル帰宅部」。彼らが手にしているのは、予算でも権限でもない。『マインクラフト』を武器に、「これなら自分も役に立てる」という熱い思いだった。

その1ブロック。整地して積み上げる我が街

「デジタル帰宅部」とは、坂井市とその地元高校生、そして市民がデジタル空間で交流し、地域活動に取り組む事業だ。コンサルティング企業のアクセンチュア、そして学生の社会参加を後押しする一般社団法人BEAUが支援する。デジタル空間に仮想の坂井市をつくり、地域の大人たちとともにイベントや観光誘致のアイデアを出す。2023年から始まったこの取り組みは、今回取材した高校生が「3期生」となる。この日は、池田禎孝坂井市長を交えた活性化アイデアの最終プレゼンの場だった。

3組のプレゼンは、彼らの武器であるマインクラフトによって作られた仮想の観光地を舞台にした提案だ。それぞれ、坂井市の顔である「丸岡城」「三国湊」そして「東尋坊」の周辺をマイクラで作り替え、人を呼び込み、人が回遊する施策を披露。

東尋坊のチームは、立地を生かした新しい施設の提案だ。

東尋坊に隣接するエリアを人が集う環境を目指したイメージ。マイクラで細かく建物やスペースが表現されている。
東尋坊に隣接するエリアを人が集う環境を目指したイメージ。マイクラで細かく建物やスペースが表現されている。

人の集まりが弱い、遊び場が少ないため家族連れには厳しい、飲食店が少ないなどの課題を、子どもでも楽しめる施設をマイクラで提案。飲食店の多様性を強化するために、現実的な手段としての絶景を活用したcliffs cafeでオリジナリティを出した。福井県の観光地は名所のイメージがあるが、実際に人が最も多く訪れるのは実は公園だという。武生中央公園という場所だそうだ。東尋坊からほど近いこの場所に目をつけ、遊び場を提供するマイクラの提案は、フレッシュな視点で地元を見た高校生ならではという印象だ。

三国湊、丸岡城チームも独自性を打ち出した。

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取材・写真=坂元こうじ

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