派生形態、「アナログ企画部」
今回の取り組みは、デジタル上の空論では終わらない。2期生が昨年、マイクラで提案した「旧森田銀行でのカフェ」は、空き家を活用したカフェ運営という形で「アナログ(現実)」に実装された。これをリードした高校生の一人、めいみさんは言う。
「僕もきっかけはマイクラでした。参加して物事が進むにつれて役割を感じました。2期生として作り上げたアイデアを、今年、実際に形にできて嬉しい。何より地元の方々がたくさん協力してくださり感動しました」
地域の「実際の姿」を知ることができ、段はあまり関わりがない世代の方々と係わることができて楽しかったという。
池田市長の「やってみよう」
2025年12月20日、坂井市内で行われた第3期生の最終報告会 。そこには、単なる「見守り役」ではなく、デジタル帰宅部の「顧問」として真剣に聞き入る池田禎孝坂井市長の姿が印象的だった。この取り組みは、内容と予算、高校生の希望が合致すれば、市の事業になりうる建て付けになっている。だからこそ、真剣なのだろうが、少し意地悪な質問をしてみた。「市長の任期の期間に何か実現しますか?」
「私は来年4月で任期を終えるのです。だからといって、はい、終わりです、とはいかないでしょう。特に3回目となった今回は現実的な提案が多かったですし、すでに市として取り組む事業との親和性あった。どういう形になるかわかりませんが坂井市としてこれからもバックアップしていきたい。郷土愛を生んで、それが実現までもっていけるというのが理想ですね」
高校生たちがマインクラフト上で1ブロックずつ積み上げ、テラフォーミング(環境改変)してみせたのは、東尋坊の絶景を活かしたサウナやドローンショー、三国湊の賑わいを取り戻すキッチンカー、そして丸岡城下町での乗馬体験といった、大人の常識を軽々と超えるアイデアの数々だった 。
「やってみよう」
市長は、取り組みが始まる時、掛け声をかけた。高校生たちはデジタル上の「理想」を、街の未来を動かす「本気の観光施策」へと昇華させた。この「自分のアイデアが街を動かす」という強烈な成功体験こそが、若者たちの心に劇的な変化をもたらしている。
参加した高校生の多くは、実際の高校生活では「帰宅部」ではない。吹奏楽部、野球部など、部活に所属する。「今日はこのプレゼンのために休みました」という学生もいた。二刀流でプロジェクトを完遂するほどにのめり込んだ高校生は、今後どのような進路についても坂井市のこれからを担うことだろう。シビックプライドはこの日芽吹いたのだ。


