三国というエリアは、北前船の歴史や三国花火などで年間20万人近くの人が訪れるという。しかし、地元目線では、人が押し寄せるのはイベントの時だけ。そして、北前船の交通の要衝だった時代とは違い、現在では近隣の空き家問題が深刻なのだという。それは丸岡城エリアでも同じで、例年人気の古城祭り、桜祭りの時期だけが賑わいを見せる。地方都市の抱える典型的な課題は、商業施設や訪れる人が楽しめる場所の減少と直結する。
この3チーム15人によるプレゼンは、どれも「課題」「施策」「効果」が論理立てて展開され、マイクラという武器が具体的なイメージをかき立てている。非常に高度な設計とマイクラのスキルだ。社会貢献活動の一環としてサポートする、アクセンチュア仕込みのプレゼンだと感じた筆者は、実務面でサポートする同社の福井一生に聞いた。
「教えたのはその初手、基本的なことだけです。叩き込んだとかそういうのはありません」(福井)
3チーム全員、自らが足を使い、時間をかけて担当エリアを歩き回り、フィールド調査を徹底的に行なった。「夏場の暑さでへとへとになったとき、ベンチがないことに気づいた」(三国湊チーム)から、快適な観光のための特別な日傘や、ベンチの提案につながっている。このリアルワールドから見つけた課題があるからプレゼンの質も上がるのだろう。
きっかけは授業
2025年初め、坂井市役所の担当者が坂井市内の高校を訪れた。2022年から全国の高校で必須科目となっている「総合的な探究の時間」、いわゆる探究の授業と言われる自学自習の時間に、デジタル帰宅部の取り組みが説明された。意欲ある高校生をスカウトしに来たのだ。市内3校をまわって3期生の学生を募った。
「もともとマインクラフトが好きだったので、それがシンプルなきっかけです」
これは、1期生からほぼすべてに共通するきっかけだ。彼らにとって、地域を活性化するという理由は決して一番ではなかった。しかし、説明を受け、アイデアが形になる過程、自治体や地元の協力者が関係していく取り組みを見て、参加を決めた後も、回を重ねるごとに「どんどん興味がわいてきた」と口を揃える。同市によるこれまでの参加者の調査では、今時の高校生らしく(Zoomやマインクラフトでの)デジタル活動の参加のしやすさはもちろん、気づかなかった価値観を得られた割合、考える力、コミュニケーションスキルの向上を感じる学生がほとんどで手ごたえを感じているようだ。加えて、回答者の100%が愛着が高まったと回答し、リーダーシップについても昨年度比で17%の大幅な改善が見られた。
自分たちの大好きなマイクラを使い、街が姿を変えていく。ブロックの一つひとつが積み上げられ整地され、新しい何かが立つ。この過程に、我が街に貢献する意義を見出したのだろう。


